今までにも、蒸気機関車ではノーザン型が
大のお気に入りであることは、ここで書いて
きました。 そう、車輪構成が4-8-4の
ノーザン型のことです。
理由は自分でもよくわからないのですが、
そのバランスのとれた外観のプロポーション
のせいではないかと推測しています。
日本型で言えばC62系統のような気が
するのです。
ノーザン型は実は蒸気機関車の1つの
完成形であるという見方があります。
蒸気機関車の長足の進歩が始まる1920年代、
その用途は殆どが石炭や鉄鉱石をメインにした
貨物輸送でした。 当初、この用途で主流だった
のが2-10-2のサンタフェ型。 求められた
性能は牽引力がメインでした。ところが、時代と
共にスピードや維持コストへのニーズが高まる
につれ、2-8-2ミカド型へ、そしてその次は
2-8-4バークシャー型へと主流蒸気は変遷
して行きます。
一方の旅客用途では、1920年代、4-6-2
パシフィック型が一世を風靡していました。しかし、
時代のニーズはスピードのさらなる向上と大量
の客車を牽引するためのパワーでした。もちろん
こちらにも維持コストへの強い要望は変わりありま
せん。 その流れから主流が4-8-2マウンテン型
へと変遷して行きます。
しかし、時代のニーズはさらなる進化をもたらします。
運搬事業を営む鉄道会社にとっての根本的な無駄は、
貨物輸送と旅客輸送でそれぞれ別系統の機関車を
維持保有しなければならないことではないかという
考え方がありました。
つまり、牽引力重視の貨物用途とスピード重視の旅客
用途です。 そして、それぞれが持つニーズと課題は
真逆の、それぞれスピードと牽引力でした。
そして、とうとうこれら両刀使いのバランス機の登場
となるわけです。 そう、それが4-8-4ノーザン型
であったわけです。
ノーザン型は1920年代から製造が始まりますが、
それ以降に製造された総計1108両のノーザンの
性質はやはりその用途に応じて様々なバリエーションを
もちます。
4-8-4に限らず蒸気機関車の性能進化では、
計算による最適パラメーターの設定手法よりも、
主に現場での職人たちによる経験と勘による
寄与が絶大だったようです。
ボイラー圧力、シリンダー容量、ドライバー(動輪)径の
三つを主パラメーターとして性能アップを設計する
計算による手法は、それ以外の多くのパラメーターの
存在を無視していました。 例えば、蒸気流の制御
に関わるパラメーター、バルブセッティングに関わる
パラメーター、そしてドライバーにかかる重量バランス
にかかわるパラメーターなどです。
このように、魔法使いのような能力を発揮する
職人たちのおかげで、4-8-4も1950年まで
進歩しながら製造され続けたのです。
自分のお気に入りの4-8-4ベスト3は、
1)ナイアガラ:ニューヨークセントラル
2)ノーザン:サンタフェ
3)FEF:ユニオンパシフィック
です。
流線型では、GS4(サザンパシフィック)や
J-1(ノーフォーク&ウェスタン)なども有名ですが、
自分は裸のボイラーの方が好きです。
実はこれらベスト3の蒸気機関車は、
OゲージやHOゲージでは盛んに製品化
されてきましたが、ことマイナーゲージの
Nゲージでは入手が困難でした。
そんな中、ケンズタウンでは、ナイアガラ以外の
2機種(ノーザンとFEF)を最近入手いたしました。
(ノーザン:ケンズタウンで販売中)
(FEF-2:ケンズタウンのオークションで販売中)
どちらも精密ブラス製の貴重な一品です。
残るはナイアガラです。 やはりブラスで製品化
されたことは知っていますが、いまだ入手できずに
おります。
4-8-4に至るまでのこうした歴史を知ると、
ノーザン以外にも入手したい機種が増えました。
例えば性能アップ後のスーパーミカド2-8-2や
サンタフェの重量進化形2-10-4などです。
あ~、結局その欲望は果てしないですね(笑)
それではみなさん、また次回までさようなら(^0^)/
参考文献: THE NORTHERNS,
Jack W. Farrell / Mike Pearsall