慣らし運転いろいろ。

慣らし運転と聞いてその必要性を強く感じて

らっしゃる方は意外と少ないのかもしれません。

正直なところ、自分も日本製品に限れば

特に慣らし運転の必要性を感じる場面に遭遇

したことはほとんどありません。

これは通常のアメリカ製品にも言えることなの

ですが、最近、特殊な例を経験いたしました。

慣らし運転の意味は?

と少し考えてみると主に次にあげる要素の

「なじみ」を向上させることなのではないかと

考えます。

「モーター」、「軸受関係」、「ジョイント関係」、

「ギヤ関係」、「集電関係」。

以前、潤滑剤として鉱物油しか存在しなかった

時代は、プラスティック部品への注油は要注意

でした。 しかし、シリコン系なのど合成油が登場

してからは、適量さえ守れば割と気軽に注油による

潤滑性向上処理が行えるようになったと思います。

慣らし運転と合成油の両方を使えば、慣らし不足

が原因の不具合は殆ど解決されるように思います。

ところが…。

先日、あるディーゼル機関車が仕入れ先から納入

されました。 少し気になる点があったため、

受け入れ検査の意味も含めて検品を行いました。

この製品は外観が精緻に仕上げられている上、

DCCとサウンド機能の両方が搭載済みの最先端

高性能ディーゼルの一つです。

早速運転を始めてみると、サウンドと共に若干動き

初めてすぐにサウンドもライトも走行も突然停止!

慣らし不足のぎくしゃく走行とは異質です。

何回か試しましたが症状は改善せず、

仕入れ先に不良品として報告するしかありません

でした。 やはり日本製品よりは初期不良が

若干多い感触のアメリカ製品なのですが、ここまで

ひどい種類の初期不良は珍しく、気に入って仕入れた

機種だけになんだかひどくがっかりしてしまいました。

不良の症状と返品手続き依頼の連絡を入れると、

翌日先方から連絡が返ってきました。その内容に

よると、

「少しでも動いたなら、それは新品特有の初期状態

だから、不良ではありません。 もう少し長い時間を

かけて慣らし運転を続けてください。」とのこと。

この動きは慣らし不足ではなく不良の類だと思い込んで

いた自分は、返品を渋っているのかと感じながらも

ダメもとで慣らし運転を続行しました。

すると。。。。。

同じ不具合的走行を10回ほど繰り返した後ぐらいから

なんだか徐々に「突然停止」するまでの時間が長くなってくる

ことに気付いたのです。 一見接触不良とも思えるような

動作を繰り返しながらも、前後進合わせて30回以上は

慣らし?を繰り返したでしょうか。 結果的には完全に

良品レベルのパフォーマンスを披露してくれるように

変貌を遂げたのです! これは単に機構関係の温度上昇

による一過性の好結果である可能性もあったため、

一日置いて試してみると、やはり完璧動作です。

もちろん、先方にはこの状況を報告して返品は取り消し

とさせてもらいましたが、自分にとってはいい勉強でした。

考えるに、恐らくこれはDCCもしくはサウンドボード搭載

の製品特有の初期状態だったのかなぁ~と。

慣らし運転をしないと機能しない電子部品なぞ、あまり

聞いたことがありませんが、この不具合は明らかに機械的

メカの初期不良症状とは素性が異なりました。

しかし、ここまで手間暇かけないと慣らしが終了しないなんて

「慣らし運転過剰必要不良!」じゃないの?

とメーカーに文句が言いたくなるところです。

しかし、最初に書きました「気になる点」というのが、実は

この製品がサウンド機能が搭載され始めたころの旧製品

であるということなのです。 どうか、同ブランドからの

新製品では同様の状況が無事改善されていることを

切に望むものであります。

 

それではみなさん、次回までさようなら(^0^)/