タービン、タービン、タービン  ー北米鉄道を彩ったタービン車両ー

本日もケンズレールロードに

お越しいただきありがとうござ

います。

 

早いもので、スケールトレイン

ズ社が(プラスティック製)Nゲ

ージで初めてタービン車(GTEL

8500 ビッグブロー)を発売して

ほぼ一年になります。

ScaleTrains GTEL8500 “BigBlow” Turbine #14

「めっちゃこまかくつくられ

ててドキドキしたわ。

タービンのサウンドもすごい

迫力やったねー (^0^) 」

 

今年中にはあの#30を含む

第2弾が新ナンバーで登場す

る予定なんだよ。

 

この製品の他にもラピドー社

が「ターボトレイン」の製品発

表(2018年発売予定)をする

など、ここのところタービン車

がNゲージ市場を賑わしてい

ます。

 

「サウンドがひろまって

タービンの音も人気や

からかなー?」

 

確かに独特の大音響だから

サウンドも大きな魅力だね。

 

タービン車は、発電用のター

ビンを車両内に搭載しており、

このタービンを回転させるた

めに使われる気体によって

主に3種類があります。

蒸気を使用するスティーム

タービン、軽油や重油など

燃料を気化させたり、天然

ガスなどを使用するガスタ

ービン、そして石炭を粉砕

後ガス化処理をして使用す

るコール(石炭)タービンで

す。

ユニオンパシフィックのコールタービン車(Bユニット)

 

最初にお話した「ビッグブロー」

はガスタービン車です。

ユニオンパシフィックのガスタ

ービン車には「ビッグブロー

(Big Blow)」の愛称をもつ

第3世代機の他に、プロトタイ

プ「UP50」、第1世代機、そして

「ヴァランダ(Veranda)」の愛称

を持つ第2世代機があります。

これらのジェネラルエレクトリッ

ク製車両は1950年代初めか

ら60年代に活躍しました。

 

「改良に改良を重ねた10年

やったんやろね。

で、その打ち止めが#30や。」

 

実はね、このガスタービン車

の前にスティームタービン車

が技術の土台を作っていた

んだよ。

 

スティームタービン車が活躍

した時期は1930年代から

1950年代になります。

蒸気機関車の問題点は、

ドライバーにかかるトルクが

一定でないことや、高速時に

バルブギアなどのバランス

取りが難しいことでした。

これらを解決するために同じ

蒸気を使いながらも異なる

動力源を求めた結果がター

ビン車だったのです。

 

1930年代、ユニオンパシフィ

ックが試験運用した「UP1」

(GE製)などのスティーム

タービン車は結局実用には

至りませんでした。

ユニオンパシフィック「UP#1」 スティームタービン 2-C+C-2

その後、

1940年代、50年代になると

模型界でも人気の車両が続々

と登場します。

 

1944年にボルドウィンから

ペンシルバニア鉄道に納入

されたご存知「S2タービン」。

ペンシルバニア鉄道 6-8-6 S2 スティームタービン。

「ふつうの蒸気機関車のように

見えるけどどこがちゃうの?」

 

ドライバーを見てごらん。

太いサイドロッドはあるけれ

ど、どこにもつながってない

し、そもそもシリンダーがな

いでしょ?

それぞれのドライバーの

軸中央にはギアがあって、

高圧の蒸気で回したタービン

軸のトルクがそのまま伝えら

れているんだよ。

 

いかにもパワーがありそうな

迫力の外観ですね。

HOゲージを中心に模型界でも

人気のモデルです。

 

同じ40年代、C&Oがボルド

ウィンとウェスティンハウス

(Westinghouse)の助けを

借りて「M-1」を製造しました。

C&O鉄道のスティームタービン「M-1」 2-C1-2-C1-B 。

全長が106フィート(約

32.3メートル)もある

超ロングボディです。

 

「なんやよーわからんけど

めっちゃかっこええと思う

わー\(^o^)/ 」

 

全部で3両が製造されたんだ

けれどね、どれもトラブル続き

でまともな運行ができないまま

退役するんだよ。

でも、それは実機のお話、おじ

ちゃんも早くNゲージで製品化

されないかなーって思うよー(^^

 

最後は50年代のN&Wのステ

ィームタービンです。 1954年

に納入された全軸駆動(C-C+

C-C)の車両は「ジョン・ヘンリー

(Jawn Henry)」という愛称を

もちます(Baldwin-Lima-Hamil

ton and Babcock & Wilcox製造)

N&W鉄道の”ジョンヘンリー(Jawn Henry)”スティームタービン C-C+C-C。

「またこれも長いなー(^_^)」

 

でも「M-1」より短くて重量

も軽いらしいよ (^^

 

やはり実機はトラブルが多く

わずか3年で退役したそうです。

N&WのYシリーズ蒸気機関

車のようにその風合いには

共通するものがありますね。

「地味」の一言では終わらない

独特な魅力があるように思い

ます。

 

以上、タービン車の有名どころを

ご紹介しましたが、この他にも

NYCやGNでもタービン車の運用

はあったようです。

 

蒸気機関車をより性能アップさ

せるために開発された様々な

技術がありました。

「スーパーヒーティング(過熱

蒸気)」、「フィードウォーター

ヒーター(FWH)」、はたまた

足回りの「デュプレックス化」

など、当時の技術者たちが

国境を越えて同じ問題に立ち

向かった結果の結晶のような

技術です。

そして、単に改良だけではなく

今回のタービン技術のように

根底から異なる仕組みにまで

その気概は及びました。

残念ながら、鉄道においては

タービン技術で高評価、高実

績をあげた車両は少なかった

ようですが、トライ&エラーで

得られたノウハウ技術は、現

代においてもどこかで必ずや

役に立っていることでしょう。

そしてその外観デザインは、

歴史的経緯とともにこうして

モデラーたちの人気を博して

いるのです。

 

「おじちゃんは研究や

技術のせかいにいはった

からいっつもそういう見方

になるんやねー 笑 」

 

そうなんだよ/(^^;

分野を問わず新しい技術に触

れるとね、どうしても一所懸命

な現場の匂いが見えて心が

動くんだよ。

そんな方向からもおじちゃんは

鉄道模型が大好きなんだ(^o^)

 

「あーあ、根っからお金持ちには

なれへん性分やわー 笑 」

 

大きなお世話だよー ・笑・

ハハハー。

 

それではみなさま、

また次回までさようなら (^0^)/