本日もケンズレールロードに
お越しいただきありがとうござ
います。
アメリカの鉄道模型を扱って
いますと、英単語を日本語に
変換しなければならないこと
がよくあります。
日本では通常、外来語はカタ
カナで表記するルールがあり
ますが、日本語にない発音を
どのように表記するかは難し
い問題です。
「うんうん、”th”とか”v”とかの
発音は日本語にはないゆーて
なろたわ。」
”th”は、「ス」とか「ズ」って書
かれることが多いね。 ”v”は
「ヴ」と書かれることもあるね。
実はさらにもっと頭を痛める
問題として、その単語の日本
語での読み方があります。
そもそも読み方がわからなけれ
ば表記できないわけですから。
サザンパシフィック鉄道の有名
な列車の一つにご存知「デイラ
イト(Daylight)」があります。
この名前の列車には2種類が
あって、一つは海沿いの路線
を走る「コースト(海岸)デイライト
(Coast Daylight)」、もうひとつ
が内陸の路線を走る
「San Joaquinデイライト」です。
「それ、サンジョア・・・・??
・・あー、どないよんだら
ええかわからへんわ (>-<) 」
そう、この問題なんだよ。
「San Joaquin」は、人の名前
でもあり地名でもあります。
内陸の路線は、途中で「San
Joaquin Valley(谷)」を通る
のでこのように呼ばれます。
日本の地図でこの谷を調べて
みると「サンウォーキンバレー」
と書いてありました。 ところが
「San Joaquin」という地名を
調べてみると「サンジョアキン」
と表記されています。 実は、
この単語の米国での読み方は
「サンホワキン」か「サンワーキ
ン」が一番近いのです。
「えーーっ、ほなどれが正しい
読み方なん? 」
こうなるともうどれが正しい
とか正しくないとかわからない
よ ・笑・
少し前になりますが、日本では
外国の固有名詞を原語の発音
に近い呼び方に変更する動き
がありました。
自分が覚えているのは、韓国
の大統領「全斗煥」氏の読み方
の変更です。 それまでの
「ゼントカン」から「チョンドファン」
に改められました。
「ゼントカン」は日本人が漢字を
見て勝手に呼び始めた名前で
あると思いますが、全斗煥
大統領自身は昔からずっと
変わらずチョンドファンさん
であったはずです。
「たしかに、自分の名前が
外国でぜんぜんちがうなまえ
でよばれんのはかなんなー」
そう、そういう主旨での読み方
の方針転換だったと思うよ。
相手が海外の要人ならそもそも
失礼なことだしね。
ですので、その方針に従えば
「San Joaquin Daylight」は
「サンホワキン・デイライト」か
「サンワーキン・デイライト」と
表記することが正しいことになり
ますね。
自分がされると嬉しくないと
いう理由から、このブログや
ケンズタウンでは基本的に
この主旨に従っているつもり
です。 特に人の名前や地
名などの固有名詞については
気を使っているつもりですが、
完全に従来表記が定着して
いるものについてはこの限り
ではありません。
「たとえばどういうこと?」
そうだねー、例えば発明家の
「エジソン」ているでしょ。
彼の正しい名前は「エディスン」
だけれど、こんなのを全て
言い換えていたらキリがないし
みんなに正しく伝わらない
からね (^-^)
このレベルになるともう、
「Edison」の日本語は
誰がなんと言おうと「エジソン」で
「エディスン」なんかじゃないっ!
て感じでしょ? (^^
「そりゃー、「エジソン」は
「エジソン」やからなー 笑」
そういうわけで、白黒をはっき
りさせたルールは作りにくいん
だよ。
ただ、英語をある程度身につけ
てしまうとどうしても馴染め
なくなる表記もあります。
給水温め器のことであるフィー
ドウォーターヒーター(FWH)の
種類に「Worthington」方式が
ありますが、これが「ウォシン
トン」方式と書かれているのを
見たことがあります。 自分と
してはなんだか受け入れがた
いので「ワージントン」方式と
表記しています。
このような状況に何度も遭遇
するにつけ、あることに気が
付きました。 子供の頃に
習った「ローマ字」教育が
しっかりと日本人には根付いて
いることです。
かの世界最大の出力を誇るレシ
プロ型蒸気機関車である
「2-6-6-6- Allegheny」は、たいて
い「アレゲ(ー)ニー」と表記されて
います。 この名前は、C&O鉄道
管轄の石炭掘削場であった
「Allegheny Mountains」
という山地の名前(固有名詞)に
由来しています。
正しい発音に近く表記すると
「アラゲイニィ(ー)」となるわ
けですが、ローマ字教育では
「e」は「エ」と発音するよう習っ
たため、文字だけから読もう
とすると「Alle..」はどうしても
「アレ・・」になってしまうのです (^^;;
さきほどのFWHも同様に
「Wo..」とくれば「ウォ・・」と
反射的に読むよう訓練され
てきました。
「そのあと中学とかでなろた
英語の読み方はなんでか
しらんけどあたまにのこって
へんねー (^^; 」
でも、不思議なものでね、
ローマ字読みに反しているのに
ちゃんと正しく定着している
単語もあるんだよ。
ボルチモア&オハイオ鉄道は
「Baltimore&Ohio」ですが、
なぜか「バルチモア・・・」とは
誰も書きません。
この違いはどういうことなの
でしょうね。
さらに米国の地名には、
先住民族の言葉が色濃く残って
いますので、「2-8-4 Kanawha」
にいたってはもう「カナワ」でも
「クーナー」でも何でも来いっ!
って感じですね(^0^)/
そして最近になって気が付いた
恐るべき変換法則です。
それは「Wh」の法則です (^^
「ん? 5W1Hのこと?」
いやいや、「Wh」で始まる英単
語の表記にはなぜか「ホ」が割
り当てられている謎の法則のこ
とだよ。
正しくは「ウェール」である鯨の
「Whale」は「ホエール」が当たり
前です。
白の「White」を「ワイト」と言う人
は皆無で、皆「ホワイト」と言います。
歌手の「ウィットニー・ヒューストン
(Whitney Houston)」は、「ホイット
ニー」として日本では親しまれてい
ます。
「なるほどー、そやからむかし
外国人に「ホワット(What)・・・
って聞いてもつうじひんかた
んやー /(^^; 」
米(英)国人が「Wh」を発音
する直前に口を「ホ」の形にし
て出る息の音(子音)が「ホ」に
聞こえたか何かで定着した
のかもしれないね。
現在の英語教育は特に会話
(発音、聞き取り)に関して国
を挙げて急速に改革が進んで
います。
小学校での授業が始まり、
大学の試験では既にリスニング
テストが必須となりつつあります。
スピーキングテストが必須となる
のも時間の問題なのかもしれま
せん。
このような環境で英語教育を
受けた世代が社会に出てくる
ようになると、きっと今までの
カタカナ表記に違和感をもつ
ことがあるでしょう。
将来、そんな世代のアメリカ
鉄道(模型)ファンが「San
Joaquin Daylight」をどのように
日本語で書くかをいつか知り
たいものです (^_^)
それではみなさま、
また次回までさようなら (^0^)/