あの窓を夢見る -きれいな窓の作り方!?-

本日もケンズレールロードにお越し

いただき ありがとうございます。

 

さて、今日は窓のお話をさせてくだ

さい。

そうです、以前にも書かせていただ

いた客車、特にストリームライナー

系の客車の窓です。

 

残念ながら、Nゲージの北米市場で

は、貨物車に比べて客車の製品種

が非常に少ないのが現状です。

HOゲージでは多く製品化されてい

るので、アメリカ人の嗜好ということ

にもならないようです。

理由はともかく、自分がずっと気に

なっている・・・、うーん、むしろ夢見

ていることがあります。

 

「はいはい、前からおじちゃんがよ

-ゆうてるツライチがどうのこうの

ゆうやつやろ? 笑 」

 

それそれ (^-^;

おじちゃんは、そんなにいつも言っ

てるかなー?

確かにいつかそんな製品を手にし

てみたいって強く思っているからね。

窓(列)が美しいNゲージ客車・・・。

 

それでは、まずお手本とういか窓

の実際を復習してみたいと思いま

す。

模型ではよくあるアングルからの実際の客車と窓の内側。

ご覧のように、窓の外観には、綺

麗に見えているポイントがいくつ

かありますね。

一つ目には窓の透明感。 ガラス

ですから当たり前なのですが、だ

からこそ、そこを外すとガラスに見

えなくなるわけです。

二つ目は、透明感と少しかぶりま

すが、表面の平滑度。

 

「物がきれいに映り込んだりする

つるつるな感じやね (^^  」

 

うん、これが透明感と相まって綺

麗なガラスに見えるわけだね。

 

そして次がガラス面とボディ面の

関係。

 

「出たーーっ

ツライチ(面一)!」

 

特にストリームライナーなどでは、

ボディ側面とほぼ同じ平面(ツラ)

で窓ガラスが存在し、模型でも窓

を美しく、本物らしくさせる大きな

ポイントであると思います。

自分は、この窓や窓列の美しさ

こそが客車の一番の魅力ではな

いかと思うほどです。

 

あとは、窓周りのシーリングゴ

ムの出しゃばらないより細く繊

細なラインですね。

そして、ゲージにかかわらず、

殆ど気にされていない窓の内

側。  外からでも見える透明

な窓越しの内装の厚みです。

 

「電車とかに乗ったとき、ペット

ボトル置いたり、肘のせたりす

るとこやねー」

 

そうそう。

これが模型にもあったら、小道

具の缶ジュースや肘をかけてる

フィギュアもあっただろうね(^^

 

では、実際のNゲージ製品では

どうでしょう。

残念ながら、これらのポイントを

全ておさえている製品はありませ

ん。

現在は主に2つの製造方法が見

られます。

一つは、昔ながらの手法で、窓の

部分を抜いたボディに裏側から

透明な薄手のプラ(樹脂)シートを

貼り付ける方法です。

薄いシートの均一な透明感と平滑

な表面が実際のガラスに似ていて

非常に美しいガラスを再現している

反面、窓周りの分厚いボディ壁が目

立ち、せっかくの美しいガラスがもっ

たいない結果になってしまいます。

 

逆に、このボディ厚を隠すために使

われている製造方法の主流が、窓

の形に凹凸を持たせた透明な成型

パーツを窓穴にはめ込む方法です。

 

「プラモデルとかでよーみるやつ

やね。 」

 

昔から使われている定番の方法だ

からね。

 

透明パーツの凸部分の厚みをボ

ディ厚と同等にすると、見事に平

面(ツラ)が揃いボディ厚を隠すこ

とができます。

けれども残念なことに、この透明

パーツ自体にさほど透明感やつる

つる感が無いことや、パーツ自体

の厚みが原因で、特に斜めから見

ると見えるものが歪み、薄いガラス

の感じが損なわれがちです。

また、ボディとの隙間ができること

や、窓が小さくなるとビン底のような

見栄えとなる惜しい性質を持ってい

ます。

 

車のダイキャストモデルなどでは、

その名の通り鋳造で金属ボディを

作るため、プラスティック製鉄道模

型と同様にボディ厚が実物より大

きくなります。

前述のような窓型に凸部を作った

透明成型パーツをはめ込む手法も

一般的ですが、より高級なモデルに

なると、ここに窓形状の薄い樹脂シ

ートが美しく窓にはめ込まれ、ボデ

ィ厚とガラス厚の見栄え問題を同

時に解決しています。

 

「おんなじことを鉄道模型でもやっ

たらええてゆうこと?」

 

いやいや、客車では窓の数が多い

から、一両仕上げるのに相当な時

間と手間がかかってコスト的に無理

だと思うよ。

 

そこで、そこそこのコストでこれら

の問題点を調和させる方法を考

えました。

つまり、美しい薄いガラスをもち、

ボディ厚が目立たず内装がある

客車です。

その内容を漫画にしてみました。

きれいな窓の客車の作り方案。

ポイントは、ボデイの内側の窓周

りに、できるだけ薄い厚みのセクシ

ョンを成型時からつくること。

そこにシートなどが一体成型された

内装パーツを、透明薄層シートとブ

ラインド用素材などを挟み込んでは

め込むという方法です。

 

この案では、ボディ側と内装パー

ツの端を斜めに成型し、すべり込

ませる方法としていますが、他に

も手法はいろいろとあると思いま

す。

 

この方法の要は、ボディ側の窓周

りをいかに薄く成型できるかという

ところでしょう。

この厚みこそが、外から客車を

眺めたときのボディ厚となり、

前述のように重要な美観ポイン

トとなります。

材料にこだわらなければ、現在の

限界は0.4ミリ程度でしょうか。

 

「今の客車の厚みはどれくらいな

ん? 」

 

そうだねー、だいたい1ミリ前後か

な。

これが、0.4~0.5ミリ程度にな

れば、かなり美しく見えると思うん

だけどねー (^^

 

インターネットで検索していると、

厚さ0.4ミリのポリカーボネート製

スマホケースなるものが引っかか

りました。 なんでも、0.45ミリま

でならなんとかできても、0.4ミリ

に到達するのが至難の技で、相

当なご苦労があったそうです。

「90%からが長い」という製造業

格言の通りです。

 

「なにそれ、おじちゃん?」

 

いやいや、何かの目標に向かっ

てがんばるときね、目標の90%

くらいまでは割りにすんなりと進

むけれど、そこから100%達成

までが鬼のように難しいという

経験を言った言葉だよ。

 

通常のNゲージのボディは、プラ

モデルなどでもお馴染みのポリス

チレンを使用して、射出成型(イン

ジェクションモールディング)という

製造法で作られています。

価格が10倍程度もするポリカー

ボネートなどのエンジニアリング

プラスティックとは、材料強度な

ど条件が違いますが、0.5ミリ以

下の厚みに成型することは可能

なのではないかと思います。

 

「でも、ほんまにできるかどうか

は、わからへんやん (-_-)」

 

たしかにそうだね。

実際に、あるメーカーにこのアイ

ディアをメールしてみたんだけれ

ど、割れや巣ができるから無理

だってあっさり言われたよ ・笑・

あるメーカーからは返答もない

しー (^o^;;

 

射出成型につきましては、かつて

関連した仕事にも携わっていたた

め、素材の注入場所をはじめ、温

度や金型締め付け圧力、時間など

の微妙な成型条件の違いで、出来

栄えが大きく変わることを知ってい

ますが、本当にできるかどうかは

確かにわかりませんよね。

 

この内装パーツを滑り込ませる

方法には、屋根側からと床側か

らの二通りが考えられます。

どちらの場合にしても、成型後

に引き抜けるよう、ボディエッジ

まで厚みの薄い部分を連続させ

なければなりません。

また、この後にどのように屋根

や床をはめ込む方式とするかも

考える必要があります。

この方法は、客車だけではなく

例えば、ディーゼル機関車側面

などの小窓にも使えますね。

 

「なんか特許の明細書みたいや

なー (^-^) 」

 

かつての習慣で、出願しようかと

も考えたんだけどね、やめたー /(^o^;

 

これも素材が違いますが、マイクロ

SDカードのシェルもわりに薄いイン

ジェクション成型品ですよね。

けれども、鉄道模型では素材がポリ

スチレンだからできない、という状況

になるのかもしれません。

 

「そやけど、買う人がそれを見て

納得できる外観やったら、高くて

もこうてもらえるかもしれへんやん。」

 

割高な素材を使えばできるという

ことであれば、各メーカーの貨車

同様、ハイエンドの製品ラインとし

て世に問うことも「あり」ではないか

と思います。

 

「窓とボディをツライチにするだけ

やったら、透明なボディに直接

ペイントするっちゅうのはどう?」

 

おー、それならボディ厚みは塗膜

厚のみだから完璧だね。

あとは、窓にもなるボディ厚の問

題と、室内照明をつけたときの漏

光の問題をクリアすればいけるか

も。

もし、今回のアイディアの窓周りを

0.4ミリ以下で作れるようになった

ら、君の言うように透明樹脂でボデ

ィを作って、不透明樹脂で内装パ

ーツを作れば、ガラス用透明シー

トは不要になるね。

 

アイディアは他にもありそうですが、

「窓ガラスが透明できれい、ボディ

厚が目立たない、内装まである」、

なんて客車、「次世代型Nゲージ客

車」として皆様いかがでしょうか? (^^

 

「もし売れたら、今度は展望車とか

ドームとかどうすんのか考えなあ

かんね (^o^) 」

 

あらあら、もう次の課題ですか。

きみは、きっといい上司になれる

よ 笑

 

窓に惚れ込むNゲージ客車・・・

いつか見てみたいです。

 

それでは皆様、

また次回までさようなら (^0^)/