本日もケンズ鉄道にご乗車いた
だきありがとうございます。
「それにしても
えらい突然やったねー(^^; 」
そうなんだよ。
それは先々週の金曜日でした。
ブロードウェー社からペンシル
バニア鉄道のP70をNゲージ
でも8月に発売する予定との
メールが突然入ったのでした。
「P70ゆーたら、HOスケール
で好評なむかしの客車やね (^^ 」
そうそう、ブロードウェー社は
2017年に新発売して、今では
ロードナンバーを増やしながら
3回目のランになるからねー。
それを今回はNゲージでも出す
というんだよ。
ペンシルバニア鉄道(以下ペンシー)
のP70系客車(コーチ)は相当数が
製造されたため、同鉄道の至るとこ
ろで見ることができた非常に身近で
知名度の高い車両です。
1906年、ペンシーは北米鉄道
で初めてオールスチール車両を
製造、運行させました。
当時、鉄道用建築物の殆んどが
木製であったことや、ハドソン川
などの河川地下に掘られたトン
ネルを考慮し、火災の発生を防止
する目的での判断であったそうです。
そして翌年からオールスチール製
P70がペンシー標準の客車として
製造され始めたのです。
「おじちゃん、
よーしってるなー! (^^ 」
いやいや、これはね、先週読んだ
資料を要約しただけなんだよ ・笑・
「なーんや、やけに詳しすぎると
おもたわ 笑」
ペンシーの鉄道模型と、モデルと
なった実車の歴史について詳説が
なされる「キーストーンモデラー
(TKM:The Keystone Modeler)」
という季刊のインターネットサイト
があります。 サイトとは言っても
PDF型式の鉄道模型雑誌といっ
た方がピッタリかもしれません。
最新刊はもちろん、過去のアー
カイブから希望のナンバーを
選択して見ることができます(無料)。
ブロードウェー社製HOスケール
P70の記事は新発売された
2017年の冬号(No.99)に掲載
されています。
その記事の冒頭で、先ほどお話
したP70誕生の歴史が書かれて
いたというわけです b(^-^)
「わー、なんやTKM?
ペンシルバニアの専門書みたいな
かんじやねー (^^;」
そう、歴史はもちろんのこと、
実車に関する知識や製品に
対するかなり細かい指摘まで
しているしっかりした内容の
資料的存在だね。 ペンシー製品
の模型化情報を普及させる目的
で発行されてるんだそうだよ。
これからおじちゃんがはなす内容
は殆んどここからもらった情報だか
らね、よろしくお願いします (^_^)
実は、製品化される予定のNゲ
ージP70の画像はブロードウェ
ー社のホームページなどでも見
当たらず、全てHO製品のものが
流用されています。
基本的な造りはNゲージでも
同様ということなのでしょう。
P70系には多くのバリエー
ションがありますが、Nゲージ
でもHO製品と同様にP70と
P70Rの2種が発売予定です。
HO製品では、ブロードウェー製
発売以前に古くからキットも含め
多数のP70製品があったようで
す。
その中で、TKMが「最も実物に
忠実で正確」と好評したのがブロ
ードウェー社製でした。
ですので、同社が今度はNゲージ
でどのように仕上げてくるか興味
深々になってしまいますね。
「そやけどこの2種類
の客車、どこがどうちがうんか
よーわからへんねけど (^^; 」
はいはい、じゃーおじちゃんが
TKMに代わって説明するよ。
TKMほど上手じゃないけどね ・笑・
オールスチール車両を初めて
運行させた1906年の翌年から
トータルで1000両を超える
P70客車(コーチ)がアルトゥーナ
ショップをを含む複数のビルダー
で製造されました。
1933年に、その中の一部が
氷を使った冷房車両に改造
されP70Rとされます。
(氷冷房:ice-activated air conditioning)
1954年までのペンシー製冷房
車両では、型式名の末尾に「R」
がつくのだそうです。
冷房の手法は氷式のほかに
P70FBRのような機械式もあっ
たそうです。 一方、冷房装置
のないP70は、鉄道員や鉄道
ファンから「ホットP70(Hot P70)」
と皮肉混じり?に呼ばれていた
そうなので、夏場の車内は相当
暑かったのでしょうね。
「そやけど、冷房あらへんのに
ちゃっかりニックネーム
みたいのもろて
なんやかんやゆーて
P70も愛されていたんやねー(^^ 」
なにしろ元祖の大御所P70な
わけだからね (^o^)/
P70の「70」は客室の全長70
フィートからきていますが、
車両自体の全長は79フィートと
10インチ(約24メートル)あり、
これはP70、P70Rともに同じ
です。 座席数は当初88席で
したが、1926年の製造から
80席に変更されています。
外観上の大きな相違は、ルーフ
(屋根)と床下にあります。
P70とP70Rのルーフには
10個の通常ベント(換気口)
がありますが、P70ではベント
に沿ってコンジットと呼ばれる
電線管があり、ベントわきなど
にある小さな接点箱(ジャンク
ションボックス)でつながって
います。
このコンジットは、よくアンテナと
誤解されるそうですが、他のペン
シー車両のルーフにあるような
通信用のアンテナではなく、内部
に電線等を通すための配管なの
だそうです。
「TKMは、これにも
きびしめやったねー(^^; 」
間違えたら怒られそうな
書かれ方だったよね ・笑・
一方、P70Rには電線管や
接点箱はなく、その代わりに
形状が異なる11個目のベント
がルーフ長手方向中央に
配置されています。
また、P70の床下は少し寂しい
くらいにすっきりしていますが、
P70Rでは大きな冷房用
アイスバンカー(氷貯蔵庫)が
幅をきかせていますね(^^
これらの違いは外観上重要な
部分ですので、Nゲージ製品で
もディテールは劣るかもしれま
せんが、表現されることと思わ
れます。
「ほかにどっかみみとくポイント
とかある?」
じゃー、TKMが説明してくれた
ドア窓と塗装仕様について
はなすね (^^
前述の通りP70系には複数の
製造元があったため、各所の
仕様に若干のバリエーションが
あります。
例えば、出入り口ドアの窓ですが
ブロードウェー社で製品化された
2枚窓仕様のほかに1枚窓仕様
の車両もあったそうです。
またドア付近のベスティビュール
とよばれるデッキスペースに窓が
ある場合とない場合があるそう
です。
ボディ色は、P70、P70R
ともにタスカンレッドで、窓の
上下には合わせて3本のスト
ライプ(窓上には1インチ幅
ストライプが1本、窓下には
1インチ幅ストライプが2本)が
ありますが、1962年から
順次簡略化されていったのだ
そうです。
レタリングとストライプの色は
当初ゴールドであったのものが、
1952年の夏から順次
デュラックスゴールド(Dulux
Gold:淡黄色)に置き換えられて
いきますが、ブロードウェー製品
では、HOでもNでも双方が用意
されており選択可能です(メーカー
説明表示では「Dulux」が塗料の
ブランド名のためか「バフ(Buff)」
と表記されています)。
TKMは、それまでの製品の
床下などが不正確な表現になって
いるのに比べ、ブロードウェー製
は非常に正確で実車に忠実である
と賞賛する一方で、厳しい指摘も
しています。
「ひゃーっ、こわいこわい(>_<) 」
以下は、TKMでネガティブに
評価されている部分です。
・ ルーフのリベット、シーム
(継ぎ目)などは実車では
殆んど見えない。
(実物では、リベットやつなぎ目
からの雨漏りなどを防ぐため
黒色のコーティング材を塗装
するため、これらの凹凸は
殆んど見えないのだという)
・ プレート厚などボディ側面のディ
テール彫刻凹凸が大きすぎる
・ 出入り口ドア両脇の手すりは
銀色ではなく黒色が正しい
・ タスカンレッドは少し茶色すぎ
に見える
・ カプラースイング確保の目的
ながらエアホースとスチームライン
の位置が外側過ぎる
・ 同様の目的ながらカットレバー
の形状が実物と異なる
・ 台車の固定に水平方向の遊び
がなく、勾配部分で脱線することが
ある
と、強い立場からのかなり厳しい
指摘です (^-^;;
「おじちゃんのたちばは、
めちゃよわいなー 笑 」
ウグッ! 心臓にささる言葉・・・笑
凹凸の大きさに関しては、スケール
モデル特有のデフォルメ技法も
あるわけですが、一切容認しない
というリアル派の評価です。
少し意地悪な見方ですが、HO製品
で指摘されているこれらの部分が、
Nゲージ製品ではどのように表現
されるのかも気になるところですね。
「カプラーまわりのエアホース
とかはしょうりゃくされるんかなー?」
うーん、最近のNゲージ貨物車
では省略しないことも多くなって
きているから、多分簡略化はあっ
ても省略はされないと予想して
いるけどね (^^
カットレバーやエアホース類の
ある精密なカプラー周りを一度
見てしまうと、何もないことが
少し寂しくなるんだよね。
ただ、カプラースイングとの兼ね
合いは急峻な曲線を使う走行模型
ならではの難しい部分。
実車のより忠実なモデル化を優先
するか、曲線路通過性能を優先
させるのかは各メーカーの哲学に
もかかわる分かれ目でもあるね。
ちなみに、この記事を書いた人は、
自分が所有するP70のエアホース、
スチームライン、カットレバー形状
を正しく付け替えたのだそうだよ(^^;
「さすがやわー・・・(^^; 」
きっとかなり大きな曲率のレイアウト
をもっているんだと思うよ。
HO製品では、室内灯用の集電が
2D-P5台車(1920年代から70
年代まで使用されたPRRの客車用
標準ローラーベアリング台車)から
ピックアップされる方式ですが、
さてNゲージではどうなるでしょうか。
Nゲージ製品だけ電池式に設計変更
することはないとは思いますが・・・。
「なんかNゲージのP70を
はよみたなったなー (^o^) 」
ブロードウェー社のスタッフが
TKMの記事を見ているかどうか
はわからないけれど、社名に
恥じない製品になってくれると
いいね (^_^)
TKMでは、メーカーを限らず
他のバリエーションである
P70FR、P70GSR、P70KR、
P70FBR、P70R後期型などの
今後の製品化を期待していま
した。
今回のNゲージP70は、昨年
製品化されたT1にもぴったり
くる車両だけに、ブロードウェー社
のこだわりが見られる素敵な
Nゲージ製品になってくれると
嬉しいですね。
「あと、スケジュールが
おくれませんように! (^o^) 」
はははー、それそれ !(^-^)
それではみなさま、
また次回までさようなら (^0^)/