実車速度にご注意!?

ご存じの皆様も多くいらっしゃると思い

ます、先週アメリカで発生しました

アムトラックの脱線事故。

ニューヨークへ向かう急行が

フィラデルフィア近郊のカーブで激しく

脱線し、多くの犠牲者を出して

しまいました。

犠牲となられた乗客の方々の

ご冥福をお祈り申し上げます。

当初は単なるスピードの出し過ぎ

との原因推定でしたが、現場の調査が

進行するにつれ、テロの可能性や

飛行物体衝突の可能性まで飛出し、

現在はいささかミステリアスな様相

のようです。

事故原因はともかく、私が興味を

抱いたのはカーブの強さと列車速度

の関係です。

鉄道模型でも、慣れない子供などが

猛スピードで急カーブに突入させ

そのまま列車が横転するような光景は

特に珍しくないように思います。

自分も子供のころ父親から、

やれ、「そんな急停車しては中の

乗客がたおれてしまうぞ。。。」だの

「そのスピードじゃ新幹線並みの

蒸気機関車だ。。。」などと

言われた記憶があります(>o<)

そこで今回は、Nゲージ(1:160)に

的を絞って、模型の実スピードと

そのとき想定される実車スピードを

計算で求めてみようと思います。

先週の事故では、カーブ前の

進入速度が本来は時速80キロ

(50mph)に制限されているところ

時速約170キロ(106mph)で

進入したとされています。

これらの速度やその異常感を

Nゲージで体感するとどんな感じ

になるのかがわかるわけです。

ある程度精密なスピードガンなどが

あると走行中の模型のスピード計測も

簡単なのでしょうが、私は持っていないので、

原始的な手法を用いました。

単純に1メートルの直線路を通過する

時間をストップウォッチで計測します。

Nゲージ(アメリカ式)では距離が

実物の160分の1になっているわけ

ですから、1メートルは実際の

160メートルに相当するわけです。

例えば1メートルを走破するのに

丁度10秒かかったとします。

すると実機では160メートル進むのに

3600分の10 時間かかったことに

なります(1時間は3600秒)。

そこから3600秒の間に進める距離を

計算すれば「時速」を求めることが

できます。 つまり、10秒の場合は

160メートルを360倍した距離=

57600メートル=57.6キロメートルが

時速になります。

使用したパワーパックはかなり古い

KATO製の「モデル22-020」です。

スロットルの目盛は数字の「4」まであり

その次は「MAX」となっています。

各目盛で動力車を走行させ、1メートル

を通過するのに要する時間を計測しました。

使用した動力車は3種。

1.KATO Dash-9 BNSF

2.Spectrum Dash-8 ATSF

3.LIFE-LIKE E7 Boston&Maine

の3両です。

(どれもアーノルド型カプラーの

旧い車両ですみません)

ご存じのように、動力車に搭載されている

モーターの仕様は各社、各時代で

異なりますので、そこに伝達経路の

ギヤ比やら車輪径も含めて、

同じパワーパックの目盛であっても

車両によってそのスピードは様々に

なります。

測定しました通過タイムを

実機での時速に換算し、グラフにして

みました。

パワーパックの目盛と実車での換算スピードの関係。

パワーパックの目盛と実車での換算スピードの関係。

割と簡単に時速200キロに達しますね。

ここで注意していただきたいのは

横軸の目盛の数値です。

この数字はこのパワーパックを

使用したときのみ意味があります。

皆さんがお使いのパワーパックでは

どんな目盛数値でどの程度の電流が

出力されているかはまちまちですので、

このグラフの横軸数値は無意味に

なってしまいます。

そこで、以下におおよその速度の目安を

示します。 お手持ちの直線路1メートルを

走破するだいたいの時間を測ってもらえれば、

おおよその実車換算速度がわかります。

3秒: 時速192キロ

4秒: 時速144キロ

5秒: 時速115キロ

6秒: 時速96キロ

7秒: 時速81キロ

8秒: 時速72キロ

9秒: 時速64キロ

10秒: 時速57キロ

それでは、冒頭でお話しました

事故現場のカーブはどの程度

だったのでしょうか。

列車はフィラデルフィア方面より

左カーブへと進入し脱線しています。

地図からだいたいの曲率半径を

求めますと約450メートル程度です。

このカーブは新聞記事などでは

いわゆるかなりの「急カーブ」と

記述されています。

このカーブに対するアムトラックの

制限速度が時速80キロ(50マイル)

なのです。

速度と同様にこの曲率をNゲージに

換算すると、なんと半径は

「2,800mm」程度となります。

通常我々が楽しんでいる曲率は

相当ゆるやかな曲線路でも

R500mm程度でしょう。

使用頻度の多いものは

R300mmからR400mm程度

ではないでしょうか。

以上のデータを総合しますと、

我々のレイアウトでの

より安全なカーブ進入速度は

時速60キロ以下程度かもしれませんね。

これは丁度1メートルを10秒くらいで

駆け抜けるスピードです。

そんなことをイメージしながら

安全運転、そしてときに

無謀運転??? を楽しめるのも

鉄道模型ならではですねv(^_^)

それでは皆様、また次回まで

さようなら(^0^)/