ベーカーさん(社)も考えた!?

いつもご覧いただいている皆様、

そして今日が初めての皆様も、

ここに来ていただいて本当に

ありがとうございます。

筆者?といたしましては

この上ない喜びでございます。

 

さてさて、私はやはり蒸気機関車が

好きなもので特に国籍は問いません。

アメリカでもドイツでも日本でも。

蒸気機関車のパワー発現の源は

熱エネルギーですが実際にそれを

圧力という形でピストンを動作させて

いるのは蒸気です。

けれども、この貴重な蒸気圧力の

パワーを上手くロッド類を介して

車輪の回転力に結びつけることは

そう容易ではなかったことでしょう。

 

おそらく皆さんは蒸気機関車の

ピストンケースつまりシリンダーを

場所も含めてよくご存じだと思います。

ですので、大抵シリンダーブロックから

上下2本のシャフトが出入りしている

ことも知ってらっしゃるでしょう。

今回はこのうち上側のシャフト関係

のお話です。

 

ガソリンエンジンの吸排気バルブと

同様に、蒸気機関車のシリンダーにも

蒸気の出入りを制御する吸排気バルブ

があります。 このバルブを動作させて

いるのが前述の上側のシャフトです。

バルブの開閉タイミングは非常に

重要で、蒸気圧力のパワーを遺憾なく

発揮させるための要とも言えます。

で、そのタイミングを決めているのが

「バルブギア(Valve Gear)」と呼ばれる

ロッド類の組み合わせシステムです。

 

一般にバルブギアは動輪のエキセントリック

クランクからロッド類を通じて先ほどの

上側シャフトを動かしバルブ開閉を

させています。 また、リバース動作も

バルブギアの仕事です。

 

私は、わりにC&O(Chesapeake & Ohio)

鉄道の蒸気機関車が好きです。

その中の一つに「CLASS L-2」という

ハドソン型(4-6-4)の機体があります。

これはHOなどでは模型化もされているの

ですが、その一部に「CLASS L-2 ”BAKER”

(ベイカー)」という機種があります。

実はこの「BAKER」が先程のバルブギアの

名前なのです。

 

前述したとおりバルブギアはパワーと効率を

決定づける重要なシステムのため、その

構成デザインには多くの種類が存在します。

最も一般的で主流であったのは1844年に

ベルギーのメカニックエンジニアが発明した

「Walshaerts(ウォルシャーツ:エンジニアの名前)」

タイプのバルブギアでした。

そして20世紀の初頭、このタイプの

ライバル的存在だったのが先ほどの

「BAKER」タイプなのです。 BAKERは

この機構のアイディアを出した人物を

雇用していた会社の名前で、そのアイディアを

発展させて特許化しました。

ただ、「BAKERタイプ」は「ウォルシャーツタイプ」

と全く異なっているわけではなく、部分的改良

に過ぎないという見方もあるようです。

一番の差異は、ウォルシャーツタイプに

存在するスライディングパーツが

無いことだと言われています。

スライディング機構は便利ですが

やはりパーツの摩耗を伴うため

維持、管理という観点からすると

ウィークポイントとも言えます。

 

C&Oの「L-2」は製造されたすべての

ハドソン型の中で最も大きな機体種のひとつ

として有名です(ボルドウィン製)。

1941年にBAKERタイプのバルブギアを

採用し初期ロットがフィラデルフィアで

製造され始めました。1947(48)年からは

パペット(Poppet)バルブ(バルブギアはBAKER)を

採用したいわゆる「CLASS L-2-A」に

変遷してゆきます。

 

特許業界の世界の言葉に「親特許」

があります。 特許化された内容の

根幹をなすオリジナリティの肝部分です。

それをベースとして使用しながら

改善点を独創的アイディアで解決したものが

「子特許」とも呼ばれます。

実際はどうだかわかりませんが、

今回のウォルシャーツとベイカーの

関係は「親子」であったのかもしれませんし、

恐らくベイカー側は、独立した発明であると

主張したことでしょう。

いずれにしても、システムというものは複数の

頭脳によってより洗練されてゆくものですね。

「3人寄れば文殊の知恵」・・・ですね b(^^)

 

それでは皆様、また次回までさようなら(^0^)/