この「手すり」はつかみたい・・・。

先頃、ケンズタウンでインターマウンテン製の

FP9A(CN)を発売させていただきました。

Intermountain製、N-ScaleのFP9A、Canadian National鉄道。

Intermountain製、N-ScaleFP9A(Canadian National鉄道)のフロントノーズ。

何ともその造形は凝っているのですが、

このヘッドライト下にある左右の手すり、

これはいつどんなときに使うために

あるのかご存知でしょうか?

その大きなヒントはやはりこの写真の中に

あります。

 

私はその光景を在米中に初めて

見ました。 と言ってもそれが最初で

最後ですが。 1996年の夏、

グランドキャニオン付近の国立公園

巡りをしたときグランドキャニオン駅で

それを目撃しました。

ALCO-FA(Grand Canyon Railway)のフロントドア。

ALCO-FA(Grand Canyon Railway)のキャブ下ドア。(1996年撮影)

 

それまではこんなところがドアになって

いるとは全く知らなかった…というより

まるで気にしていませんでした。

 

グランドキャニオン駅(Grand Canyon Depot)は

グランドキャニオン鉄道の終点です。

始発駅はウィリアムズ駅(Williams depot)です。

終点のグランドキャニオン駅(1996年撮影)。

終点のグランドキャニオン駅(1996年撮影)。

グランドキャニオン鉄道は1901年に

サンタフェ鉄道(ATSF)によって設立

されました。 そしてそのサンタフェ鉄道が

公式にその運行に終止符を打ったのが

この1996年末と言われています。

その後はご存じバーリントン・ノーザン鉄道

と合併し「BNSF」となるわけです。

 

おっと話が逸れましたが、そうです、

ヘッドライト下の左右の手すりは

このドアへの昇降やドア開閉時の安全

のためにあると考えられます。

こういった手すり類はノーズサイドや

キャブ上天井にもあったり他にもたくさん

あり、機種によっても異なります。

またこのドアは何もALCO製キャブディーゼル

だけではなく多くのEMD製ディーゼルにも

存在しています。 よってこの手すりも

その両側にあるはずなのです。

もう一度一枚目のFP9Aの写真を

ご覧ください。 Nゲージでは大抵、

このドアの輪郭は一体成型の凹凸で

お茶を濁す場合も多いのですが、

このモデルでは明らかに開閉も

しないのにわざわざドア形状に

切り離してあるか、後付けしたかの

ように見えます。

もちろんこの大いなる手間によって

ドア輪郭の微妙な溝がリアルな

黒っぽい影となりその存在を

アピールしているのです。

塗膜厚を考慮すると、この切れ込み

溝幅もきちんと計算されているのでしょう。

 

だからこそつかめる手すりが必要

なのです。 この類の手すりのことを

「grab iron(グラブアイアン)」と呼びますが、

この「grab」とはつかむこと、もっと言えば

「ギュッと」つかむというようなニュアンス

が含まれています。

このドアの存在を知ってからは、

脳裏にその映像が浮かぶので

どうしても両サイドにつかめる手すり

がほしくなってしまうのです。

このモデルを設計した方は

もしかすると実際のキャブディーゼルの

このドアを何かの機会に体験した

ことがあるのかもしれません。

そしてその体験で感じた何かを

どうしても模型で再現したかったのでは・・・。

もちろんこれは私の空想ですが /(^o^;)

 

最近は作製技術に何か進歩が

あったのか、Nゲージでさえ

ディーゼルに限らず

客車などのドア類の両側などにも

後付けでワイヤー製手すりを

設置することがハイエンド製品などでは

常識になりました。

たとえワイヤー径が160分の1

になっていなくとも、やはり各メーカーの

方々には「なんとかNでもリアリティで

ワクワクを感じたい!」という

モデラー魂、あるいはモデラー本能が

宿っているのでしょう。

 

それでは皆様、また次回までさようなら(^0^)/