国を問わず鉄道模型に複数の縮尺
(スケール、ゲージ・・・)があるのは
ご存じのとおりです。
これも国を問わず、好みや諸事情
で一個人が愛好に選択する縮尺は
異なってきます。
ここでも何度かお話したことがあり
ますが、少なくとも現在、アメリカでは
縮尺の主流はHOスケールもしくは
Oスケールです。この「主流」というのは
あくまでも販売数量、製品数量という
意味の「主流」です。
かつて(戦前)は日本でも欧米から
Oスケール(ゲージ)が輸入され
愛好家も少なからず存在したと
聞いています。 しかし、次第に
主流はHOとなり70年代からは
Nゲージに追い上げられ、販売数量的
には現在、間違いなくNゲージが主流
と言えましょう。
これは鉄道に限らず、すべての
(組立済)スケールモデルについて
言えることかもしれませんが、
人間が実物を小型にして楽しむ場合、
大きく2つに分けることができるのかも
しれません。
一つは外観重視路線。もう一つは
動態重視路線です。 別の言葉で
言えば色、デザインも含めた
ディテールをより楽しむか、運転も
含めた歩行、走行、飛行、潜航など、
アクションをより楽しむかということです。
もちろんこれらは1か0(ゼロ)という
選択ではなくその間には無限に
個人的愛好比率が存在することでしょう。
アメリカの鉄道模型界ではOスケールで
よりはっきりとこの違いを見て取れると
思います。 このどちらの需要に対して
製品化するのかというコンセプトが
自ずと異なってくるため、それぞれの
製品グループ(外観派と動態派)で
製造メーカー(販売店)も大きく
2グループに分けることができます。
HOも含めると、外観派なら
Precision Scale Co.(PSC)や
サンセット・モデルズ(Sunset Models)
Overland Models Inc.(OMI)に
なりましょうし、動態派なら
ライオネル・トレインズやMTH・トレインズ
となりましょう。
外観重視製品は殆どがブラス(真鍮)製
であり動態重視製品はダイキャストバルク
を主体にしているものが多いようです。
製品価格も大きく異なっており、
外観重視製品ではHOでも動力車なら
数十万円オーダー、Oゲージなら
50万円を超えるような製品も珍しくは
ありません。 一方、動態重視製品は
新品定価で十万円台くらいから
揃っていると思います。
国土の広さや文化の違いなどから、
一般的には日本とは保有敷地(庭園)
面積が異なるため、アメリカでは
お座敷運転ならぬ「お庭運転」が盛んです。
そこで活躍するのが動態重視製品であり
昨今では発煙とサウンド、(連結器電動操作)
などが必須とも言えるでしょう。
機械的走行音も含めたサウンド、
編成全体を屋外の借景で楽しめる
魅力と迫力に細かなディテールは
第一優先ではないのです。
そしはてアメリカで微妙な立場にあるのが
Nスケールです。 少なくともかつては
その縮尺率からそもそも外観派が
納得するような製品を常識的な価格で
製造することは困難でした。 HOや
Oの愛好者から玩具呼ばわりをされた
としてもいたしかたのない部分があった
ことでしょう。 けれども時代と共に
製造場所を海外としたり先端技術
(超テク?(^-^))やハイテクとローテクを
うまく組み合わせるなどして
ここ20年くらいの間に総合的に
一番長足な進化を遂げているのは
Nスケールではないかと感じます。
もちろん進化したとはいっても、
その精密さではOやHOには
敵いませんし、迫力という意味に
おいては大きさそのもので
不利な立場にあるのは
全く変わりません。
迫力勝負であれば、OやHOでも
Gゲージや一番ゲージには敵わない
訳ですし、それらだって実物には
及ばないのです。
けれども、重視するポイントの
バランス感覚や扱いやすさを
含めた総合力で独自の魅力を発揮
しているのだと思います。
そして、特に日本では
やはりミニチュア製品に対する
魅力の価値観やこだわりが
「かわいい」に代表される
文化的特殊性 ? (^_^)
と相まって、自然にNゲージへと
主流が移って行ったのでは・・・
と、今付け焼き刃で突然思いました(^^;
現代は個人の価値観に対する
許容性が以前に比べると
随分大様になっています。
自分が好きなサイズ、好きな動作、
好きなデザインに理屈はありません。
また、趣味であるのなら一つだけに絞る
必要もないことでしょう。
それを見て聴いて触って知って感じて、
そして作ったり考えたり調べたりもして、
その心地よさで時を忘れることができるの
でしたらそれがやっぱり一番なのです。
そして、時を忘れた瞬間だけ、
「年齢」という肉体的カテゴリーは
消滅するのですから。
※ 「スケール」に関します表記ゆれを
お許しください。
それでは皆様、また次回までさようなら(^0^)/