それでもスーパークールなAerotrain(エアロトレイン)。

1950年代に入ると、アメリカの鉄道は

その運行サービスだけではなく製造産業

をも含む鉄道産業としての深刻な危機に

陥ってゆく。

車両の製造費や運行費、維持費などが

航空産業、交通バス産業、自家用車

などの成長により確実に重圧となって行った。

雇用者数の激減をも包含するそんな

鉄道産業の危機はアメリカという国家

としての危機であるという認識を

鉄道産業界は持ち始めていた。

そんな業界を救うべく立ち上がったのが

ジェネラルモータース(GM)のEMDでした。

1956年にベールを脱いだ起死回生の

妙手、それがエアロトレイン(Aerotrain)

だったのです。

GMのパンフレットなどでは、「夢の列車(Dream Train)」

とも書かれ大々的に広告されました。

エアロトレインを紹介する当時の広告。

エアロトレインを紹介する当時の広告。

 

鉄道工業界を救うためのコンセプト、

それは、速くて軽くて快適&静か

を安価な製造費で。

これを達成するために、徹底的な

軽量化が図られたボディは鉄製

アンダーフレームに総アルミボディ。

重量は一般的な客車の50%にまで

絞られ、GM製バス用ボディやトラック用

技術の流用などで製造費や、燃料費などの

運行経費まで半分以下にしたのだという。

一方、静かな社内空間と快適性を犠牲に

しないよう、エアサスペンションを装備した

1軸2輪台車を車両間に採用。

さらに車両の重心を10インチ(約25センチ)

下げながら、乗客が景色をより楽しめるよう

視線の位置はむしろ高くなるよう配慮された。

こんなアメリカの救世主とまで謳われた

夢の列車は、その未来的デザインも相まって

お披露目の際には大歓迎され大きな話題となった。

大歓迎のエアロトレイン。

大歓迎のエアロトレイン。

 

すぐさま4大鉄道で実際の運行サービスが

開始された。

今となってはスーパーレトロなデザインだがスーパークール! ベントンさん!こんな貴重な写真を本当にありがとうございます。~故Hormer G.Benton氏撮影。~

今となってはスーパーレトロなデザインだがスーパークール!
ベントンさん!こんな貴重な写真を本当にありがとうございます。                 ~Hormer G.Benton氏撮影~

 

1956年、ニューヨークとピッツバーグ間を

ペンシルバニア鉄道の「Pennsy Aerotrain」が、

同年クリーブランドとシカゴ間を

ニューヨークセントラルの「Great Lakes」が、

ロサンジェルスとサンディエゴ間では

サンタフェ鉄道の「San Diegan」が、そして

ユニオンパシフィックは「City of Las Vegas」で

ロサンジェルスとラスベガス間に運行させた。

ユニオンパシフィックのエアロトレイン。

ユニオンパシフィックのエアロトレイン。 Con – Corホームページより

 

その直後の1957年には、プルマン社(Pullman

Company)も同一コンセプトの「Train-X」を

発表した。プルマン製は同年「Xplore」が

ニューヨークセントラル鉄道でクリーブランドと

シンシナティ間を結び、「Dan’l Webster」が

ニューヨーク・ニューヘイヴン・アンド・ハートフォード鉄道

(NH)によってニューヨークとボストン間で運行された。

しかし….

時代の波には逆らうことができず、1960年前後には

殆どの運行サービスが廃止されたようなのです。

 

エアロトレインの基本編成は10両。

先頭のディーゼル機関車が最後尾の展望車を含む

全9両を牽引した。 エコ志向の非力なエンジンは、

それでも平地では160キロの最高速を誇ったが、

山間部などの傾斜地では補機が必要であったという。

また、終着駅では、次の運行のための列車の

総転回に相当な苦労があったようです。

 

お気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが、

このエアロトレインはケンズタウンのショップカード

デザインにも使用されました。 私のお気に入りです。

実物を見てもそのデザインや朱色のカラーリングは、

ブリキのおもちゃがピッタリくる風合いです。

ましてこれを模型化すると、知らない方はきっと

子供用の空想列車トイだと思われることでしょう。

一時はあのディズニーランドや各地の遊園地で

スケールダウンされたりデフォルメされて、

園内鉄道で人気を博したとか。

日本ならさしずめ昭和なデザインのレトロ列車

と呼ばれるかもしれませんね。

しかし、エアロトレインは自分の中では、

ハートまで大喜びする「スーパークール」な

列車なのです。 あー、やっぱりオジィになった/(^-^;

 

それでは皆様、また次回までさようなら(^0^)/