遺産(ヘリティッジ)への敬意

 

 

 

本日もケンズ鉄道にご乗車いただき

ありがとうございます。

 

私たち人間は、遠い過去から有形、無

形の財産を積み上げてきました。

今日、我々の毎日の生活を取り囲む

全ての人工物は、目に見えなくとも、

脈々と受け継がれてきた過去の知識、

知恵、経験などがその礎となっています。

 

「いきなりむずかしいはなしで、

 よーわからへんわー 笑 」

 

ごめんごめん /(^^;

いやね、ちょっと考えてみると、毎日あた

りまえのように見えている自分たちの周

りのものたちは全部、昔の人が考えたり、

がんばったことがベースになっているなー

ってことだよ。

 

「うんうん。」

 

例えば電気製品。 人間の歴史から

考えるとまだ新しいものだけれど、

それでも昔、それを最初に思い付いた

人の知恵と努力が詰まっていて、そこ

から毎年のように新たな知恵と努力が

積み重ねられて新製品が出てくるわけ

だよね。

建物なんかは、それこそ大昔の石や木

組みでできたものから、数えきれない

知恵と努力の積み上げで、今やスカイ

ツリーまで造れるようになったわけだしね。

 

ついつい自分だけ、今だけの力で作っ

たような気になっているものでも、実は

その根底には目に見えない先人たちの

遺産が詰まっているものです。

ときには、そんなことに思いを馳せて

その遺産に敬意を払い、感謝するこ

とも大切なことかなと感じます。 

 

さて、先日、カトー社から再販製品の

お知らせがありました。

 

「あっ、あのSD70ACeやねっ! \(^o^)/」

 

そうそう、今週ケンズタウンでもご予約

受付を始めたから知っているんだね d(^^

 

ユニオンパシフィック(UP)社が2005

年から2006年にかけて製造(ペイン

ト)したSD70ACeのヘリティッジ

(Heritage)シリーズのモデル化です。

カトー製Nゲージ、EMD SD70ACeのヘリティッジ塗装6機種と通常塗装の#8444。 
各ロードナンバーはその鉄道が吸収合併された年号になっています。 ちなみに、この写真は
模型ですが、全く同じ並びの実機での集合記念写真が存在します。 

このシリーズは、以前にブロードウェイ

社やオーバーランドモデル社のNゲー

ジでも製品化されており、HOゲージ

ではアサーン社なども手掛けた人気

シリーズです。

カトー社自身も、2009年に初めて

製品化してから今回で2回目の生

産になります。

 

「ところで、ヘリティッジってなんなん? (>_<)」

 

日本語に訳すと、ちょっと難しい言葉

だけれど「遺産」ってことだね。

この6種類(ミズーリパシフィック、ウェス

タンパシフィック、ミズーリ・カンザス・テキ

サス、デンバー&リオグランデウェスタン、

シカゴ&ノースウェスタン、サザンパシフィ

ック)のペイントスキームは、これまで

UP社が買収(吸収)してきた主な鉄

道会社のもので、現在のUP社を支え

ているいわば「遺産」と言えるんだよ。

 

「ぐたい的にはどんなもんがい産なん?」

 

そうだねー、土地も含めた全ての路線

とか、ディーゼル機関車なんかの車両、

それに大勢の従業員さんたちかな。

 

「なるほどー。」

 

じゃー、UP社が6つの鉄道から取得し

たおおよそのそれら資産を挙げてみるね。

1.ミズーリパシフィック(1876年設立、

 1982年買収)

 総路線距離: 約16,700キロ

 ディーゼル機関車数: 1,488両

 (1981年)

2.ウェスタンパシフィック(1903年設立、

 1983年買収)

 総路線距離: 約1,900キロ

 ディーゼル機関車数: 152両

 (1981年)

3.ミズーリ・カンザス・テキサス(1870年

 設立、1988年買収)

 総路線距離: 約3,500キロ

 ディーゼル機関車数: 200両

 (1981年)

4.デンバー&リオグランデ・ウェスタン

 (1870年設立、1989年買収)

 総路線距離: 約3,600キロ

 ディーゼル機関車数: 254両

5.シカゴ&ノースウェスタン(1859年

 設立、1995年買収)

 総路線距離: 約8,000キロ

 ディーゼル機関車数: 707両

 (1995年)

6.サザンパシフィック(1866年設立、

 1996年買収)

 総路線距離: 約17,800キロ

 ディーゼル機関車数: 1,153両

 (1950年)

どう? 実際の資産(遺産)を見てみ

ると、いかに莫大なものを引き継いでい

るかがわかるでしょ? 

この他に、車両としては貨物車や客車

があるし、従業員数も相当だと思うよ。

これらの老舗鉄道が1800年代からこ

つこつと開拓して伸ばしてきた路線距

離。 日本領土の北端から南端まで

が約3,000キロだということを考えると

驚いてしまうよね。

 

「ほんま、ひきつぐにも覚悟が

 いったやろうね。」 

 

うんうん、確固たるものが芯にないとなか

なかできないだろうと思うよ。

 

ユニオンパシフィック社は言っています。

「我々は、ヘリティッジ機関車を通して、

これら6つの鉄道に対する敬意を表すと

ともに、偉大な国と未来への礎を作ってく

れる全ての老若男女にも敬意を払うも

のです。」

業種にかかわらず大きな組織となれば、

「今」の収益力を誇り、またそれが注目

されることが多い中、このような過去に

対する敬意や感謝の念を会社自身が

謙虚に表すことは稀のように思います。

ましてや、それを手間と費用をかけて具

体的な形で表わすことは、なかなかでき

るものではありません。

 

1862年の設立以来、19世紀中に

は2度も倒産の経験を持ち、70年代

以降も自動車産業や航空業界からの

厳しい圧力で業界自体の危機を経験

しており、決して安泰な経営が続く状

況ではなかった同社ならではの率直な

心情なのかもしれません。

けれども、そんな思いこそが組織の全うな

今を造り、また確かな未来へつながるの

であろうと感じます。

#4014の復刻や#1111なども

含め、ユニオンパシフィック社、とても素

敵なハートをもった会社ですね (^_^)

 

「そんな思いがこめられた

 ヘリティッジシリーズを

 よろしくねー! (^o^)/ 」

 

それではみなさま、

また次回までさようなら (^0^)/