アメリカの鉄道では、旅客列車だけでなく
貨物列車にまで名前が付けられていること
があります。 もちろん旅客用に比べると
ずっと数は少ないと思いますが。
かつてペンシルバニア鉄道に続く2番目に
大きな鉄道会社として全米にその名を轟か
せていた「ニューヨーク・セントラル・システム」が
1946年に貨物のハイスピード&ライトウェイト
サービスを開始しました。 巨大コンテナに
積載するほどでもない小物資材、荷物などを
専門に扱う貨物列車でした。 その列車名が
「Pacemaker(ペースメーカー)」でした。
実はこのサービスは第二次世界大戦前から
あったのですが、戦争で中断されていたそうです。
ですから1946年(第二次世界大戦終了は
1945年)に始まったのは正確には「再開」
ですね。
経路は主に、ニューヨークからバッファローまでの
ニューヨーク・ペースメーカーと、ボストンから
バッファローまでのボストンーバッファロー・
ペースメーカーの二つがありました。
使用されたのはDSI製の40ft長ボックスカー。 最後尾の
カブース以外は基本的にこれのみです。
「ペースメーカー」独自のレッド/グレーのペイントスキーム
はサービス開始の1946年から使用されますが、後に
グレーの部分が茶色に変更されたり、全体が茶色一色に
なったりと変遷します。 また、同じレッド/グレーでも
ボディ左下のレタリング部分と右上のヘラルド(Herald:
紋章)の色により4種存在します。 サービス開始
当初はレタリングがホワイト、ヘラルドの背景色はレッド
です(バージョン1)。 しかしその後、レタリングだけ
ブラックとなります(バージョン2)。 そしてレタリングが
ブラックのままヘラルドの背景色もブラックに(バージョン3)。
最後はヘラルドの背景色がブラックのまま、レタリングのみ
ホワイトに戻されるのです(バージョン4)。 つまり、上の
写真はバージョン4です。
写真の右下の説明書きはコマ切れになりますが、
NYC Pacemaker –
1960 Re-Numbered
7-P Superior Doors
Despatch Shops Inc.,
NYC LOT 737-B
1937 AAR with a 10’-0” IH,
and 3/4″ IDN ends.
と書いてあります。
このボックスカーは、1937年に
アメリカの貨物鉄道工業会(1934年発足)
である
「AAR(Association of American Railroads)」
策定のデザインにより、当時NYCの子会社
であった「DSI:Despatch Shops Inc.」
(バッファローの東にあるロチェスター
(Rochester)所在)が製造した車両です。
NYC向けのロットナンバー(LOT)「737-B」
はトータルで1000両がペースメーカー用に
1945年納入されました。
そしてそのうちの250両(#175000~
#175249)には「ヤングズタウン型ドア
(Youngstown Doors)」が装備され、
残りの750両(#175250~
#175999)には「7枚パネルの
スーペリア型ドア(7-P Superior Doors)」
が採用されました。
けれども車両のロードナンバー#は、順次
#174000~#174999へと統合再編されます
(Re-Numbered)。
このAAR1937は1932策定版の進化形で
車両内部の高さ(IH:Inside Height)が
10フィート丁度(10’-0”:約305cm)に
拡大されています。
また車両両端壁の鋼板も3/4インチ厚
(約19ミリ)のいわゆる
「進化型強化装甲(IDN)」なのです。
IDNは「Improved Dreadna(o)ught」の略で
戦艦などの強化装甲鋼板などの表現に
用いられます(英国に「ドレッドノート」という
名前の戦艦がありました)。
これで、前述の車両説明文は全て
ご理解いただけたかと思います。
ちなみに上記二種類のドア種の車両は
同じ編成中に混在して使用されています。
なぜ今突然「Pacemaker」なのかって?(^-^;)
実はNゲージでは唯一インターマウンテン社が
過去にバージョン1~バージョン4を製品化
しています。 ケンズタウンのクリスマスセール
ではこのうちのバージョン4を発売予定
ですのでご興味のあるかたはご覧ください。
(バージョン1~3もお取り寄せが可能
(2014年12月19日現在)ですので
お気軽にお問い合わせください)
てへへ・・・、そんな訳だったのですよ(^^;
それでは皆様、また次回までさようなら(^0^)/