先日からケンズタウンのトップページで
「ポーラー・エクスプレス」という映画の紹介を
させていただいています。 クリスマスシーズン
にピッタリの映画で、我が家でも家族で
見てみて大興奮&感動でした。
この幻想的な列車を引っ張っているのが
2-8-4バークシャー蒸気機関車なのです。
ご存じのようにアメリカの蒸気機関車には
そのホイールアレンジメント(車輪配置)ごとに
呼称が与えられています。 このバークシャー
(Berkshire)もそうです。 同様に2-8-2型は
「ミカド(Mikado)」と呼ばれています。
第一次大戦中にUSRA(United States Railroad
Administration)によって設計された「ミカド」は
ライマ(Lima)社によって改良を受けました。
パワーアップのためより大きなボイラーが与えられ
その重量を支えるために2軸4輪のトレーリングトラック
(従輪台車)となったのです。 これがクラスA-1と
呼ばれる初の2-8-4型誕生でした。1925年の春には
ボストン&オルバニー(Boston&Albany)鉄道
(後にニューヨークセントラルの支線となります)
の実路線を使用したデモンストレーションが
ライマ社によって行われました。 重量貨物車列車を
牽引させた「2-8-2ミカド」を先行スタートさせ、
その後からより長い貨物列車を牽引する
「クラスA-1」で追いかけさせたそうです。
結果は「クラスA-1」がより早く目的地に到着し、
その結果を受けてボストン&オルバニー鉄道は
「クラスA-1」の発注に踏み切ったようです。
そして、このデモが行われたのが、マサチュセッツ州
のバークシャーヒル(Berkshire Hills)だったのです。
ボストン&オルバニー鉄道のメインラインは、
マサチュセッツ州の州都ボストンからまっすぐ
西へ向かい、ウースター(Worcester)、
スプリングフィールド(Springfield)、
ピッツフィールド(Pittsfield)を通って
ニューヨークセントラル鉄道のウォーター
レベルルートへと合流します。
そしてこのピッツフィールド駅付近から
東にある山間&高原部(緑で表示)が
一般にバークシャー丘陵(ヒル)と呼ばれる
エリアなのです。 同鉄道の路線の中では
勾配のあるポイントで、ライマ社は
「A-1」のハイパワーを見せつけたかった
のでしょう。
つまりバークシャーという呼称はもともと
ライマ社製造の2-8-4型のことなのです。
製造がライマ社であっても、使用する路線が
カナワ川(Kanawha river)沿いであった
C&O(チェサピーク&オハイオ)鉄道では
「バークシャー」ではなく「カナワ(ネイティブ発音では
「クゥナゥ」が近いようです)」と呼びました。
(実は、冒頭でお話しました「ポーラー・エクスプレス」
に登場する2-8-4型はライマ製ではないのです。
2-8-4型の中ではマイナーであるボルドウィン社製
(Baldwin)なのです。 ライマ製に比べると全長が
少し短く、ちょっと寸詰まりでオールドファッション的
外観ですが、同映画の雰囲気にはこちらの方が
やはりピッタリくるように私は感じます。)
—- 2015年3月27日追記 ——————————
確かに映画の中では「ボルドウィン2-8-4」
という発言が登場するので、そう思ってしまった
のですが、モデルとなった機関車はライマ(Lima)
製ペア(ペレ)・マーケット(Pere Marquette)鉄
道の2-8-4#1225(現在もミシガン州立大
学で保存)だということがわかりました。 もう一度
映画中の機関車を再確認するとやはり下の写真
のライマ製に似た部分が多いことがわかりました。
間違った情報を発信してしまい誠に申し訳ござい
ませんでした。
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かのサンタフェ鉄道(ATSF)は1927年に
このボルドウィン製を購入し、翌年に
ライマ製を追加しています。 もちろん
アルコ社(Alco)も2-8-4型を製造しましたが
外観的にはライマ社寄りです。 どうも
一般的には「バークシャー」と言えば
メジャーなライマかアルコのことになりがち
なようで、HOゲージでもOゲージでも
ボルドウィン製の2-8-4はかなり
レアな存在です。 さて皆さんが鉄道会社の
社長であったなら、どのバークシャーを
選んだでしょうか? あらあら、接待が
より豪華な方ですか?(^o^;)
きっと当時もそんなしがらみがあったかも
しれませんね、ふふふ・・・。
それでは皆様、また次回までさようなら(^0^)/