急速に進歩・普及するサウンドデコーダー(Sound Decorders)。

現在の鉄道模型がデジタル化されているのは

みなさんもご存じのとおりです。 実際に手にした

経験のない方々でもデジタル・コマンド・コントロール

(DCC: Digital Command Control)という言葉は

どこかで耳にされたことがあると思います。

アメリカでは模型用デジタルシステムの黎明期に

メーカーが乱立した結果、仕様が多種にわたり

その互換性においてユーザーが大変混乱しました。

1935年設立のアメリカの鉄道模型団体であるNMRA

(National Model Railroad Association :

全米鉄道模型協会)がこれを問題視し、仕様の統一

を目的に規格(Standards)を定めました。

以下の内容に登場する製品は全てこのNMRA規格

に準拠しています。 未だにこの規格に準拠していない

製品ももしかするとまだ流通しているのかもしれませんので

なんらかの経路でご購入されるときはご注意ください。

 

さて、やはりこのシステム、最初は組込みの容易な

OゲージやHOゲージからスタートしたと思われますが、

電子部品の小型高性能化、回路の単純化などにより

現在はNゲージにも浸透しております。

それまでは電子回路などとは殆ど無縁であった

既存の鉄道模型メーカーは、新興のデジタル部品

メーカーとタッグをくむことで自社開発の費用と

時間を短縮してきました。 いわゆるOEM

(Original Equipment Manufacturerまたは

Manufacturing)と呼ばれる手法です

(相手先ブランド名による製造)。

ここでは、現在、DCCを標準搭載したNゲージ動力車

を製造しているメーカーがどんなDCCシステムメーカー

の製品を採用しているかをご紹介したいと思います。

Nゲージで駆動用モーターを内蔵した動力車を製造

しているメーカーは、アサーン(Athearn)、アトラス(ATLAS)、

バックマン(Bachmann)、ブロードウェイ(Broadway Limited)、

フォックスバレー(Fox Valley)、インターマウンテン

(InterMountain)、カトー(KATO)、ウォルサーズ(Walthers)

などがあります。 この中から、すでにDCCを標準で

自社組込みしているメーカーについてお話いたします。

 

1.アサーン

アサーンは老舗の鉄道模型メーカーで、Nゲージの

DCC&サウンド内臓ビッグボーイやチャレンジャーを

発売してきました。 初期の製品についてはわかりませんが、

少なくともこれらの後期製品やディーゼル機関車

(EMD FP45など)には「サウンドトラックス社

(Sound Traxx)」

の「Tsunami」サウンドデコーダーシリーズを採用しています。

1990年創立の同社は1996年からサウンド機能を

搭載したDCCデコーダーを販売しています。

 

2.アトラス

アトラスは少なくとも2014年9月19日現在、

サウンドデコーダーを搭載したNゲージ動力車は

販売していないと思われます。 けれども

DCC標準搭載の車両はすでに販売済みで

1993年創立の「NCE社」

の製品を採用してきました。

 

3.バックマン

最近急速に品質を格段に向上させている

この老舗メーカーは、今まで多品種に

DCCデコーダーを搭載してきました。

商品説明にはバックマンと共同でDCC部品

を開発している「レンツ社(Lenz)」(1991年創立)

の名前がありました。

この秋もしくは年末には、バックマン初のサウンド搭載

Nゲージ蒸気機関車「2-8-4バークシャー」が

発売されることになっております(発売日未定)。

KATOのFEF3と共に非常に楽しみにしている

製品です。

 

4.ブロードウェイ・リミティッド

実はこのメーカーは、恐らくOEMではなく

「パラゴン2」というDCCシステムを

自社開発しています。 搭載機は主に

HOゲージなのですが、販売している

Nゲージ動力車には全てこのDCC&サウンド

デコーダーが標準装備されています。

 

5.インターマウンテン

Nゲージではキャブフォワードで特に有名な

このメーカーです。 当初、同社のディーゼル

機関車には特注にてDCCやサウンドボードの

組込みが行われていたようですが、今年に入り

新しく販売がアナウンスされているSD45-2

(ダッシュツー)、SD40-2(ダッシュツー)には

DC(アナログ)、DCCのみ、DCC&サウンドの

三種の仕様がランナップされています。

そしてそのDCCメーカーは1999年から

「LokSound」シリーズなどのサウンド製品を

販売し始めた「ESU社」です。

 

6.カトー

カトー(USA)は、DCCレディー(DCC Ready)と呼ばれる

DCC搭載を容易に設計されたDCアナログ車の他に

標準でDCCを組込み済みの動力車も多数販売して

きました。 採用しているDCCメーカーは

「WOWSound」という製品シリーズで有名な

「TCS社」です。

ただし、この「WOWSound」というサウンド機能

付製品は現在のところHOゲージのみに対するもの

で、Nゲージ用製品は見当たりません。

サウンド機能を未だ標準搭載しないのはカトーの

方針・主義なのかお家事情なのかは私には

全くわかりませんが、もしかするとTCS社が

Nゲージ用サウンドボードを開発できた時点で

カトー製品に標準サウンドが装備されるのかも

しれません。

 

7.ウォルサーズ

Nゲージでは、「Life Like」「PROTO」「HERITAGE」

などのブランドを抱える老舗です。

NゲージについてはDCC搭載に傍目には消極的に

見えた同社ですが、標準搭載の動きが活発化

しているようです。 サウンド搭載済み製品は

実はまだ自分は目にしたことがありません。

2008年に、DCC&サウンド標準搭載の

「2-8-8-2 Y3蒸気機関車 4thリリース」

のアナウンスがあったようなのですが、

この製品が実際に市販されたのかどうかは

把握できておりません。 一部には

SoundTraxx製Tsunamiボードが

採用されているようですが、今後の

メイン納入メーカーとなるかどうかは

わかりません。

 

以上が少なくとも私が把握している

OEMのDCCメーカーです。

実はDCCシステムのメーカーには

OEM供給を殆どしていない、もしくは

公にはしていない有名な会社が

いくつかあります。

「MRC社」、

「デジトラックス社(DiGitraX)」

などがそうです。

これらの会社は、既存のNゲージを含む

各ゲージ鉄道模型に組み込み可能な

DCCボードやDCC&サウンドボードや、

DCCコントローラー、関連機器、アクセサリー

などの製品を製造販売しています。

むしろOEMを行っているメーカーよりも

製品数や規模、意気込みなどは強いように

思います。

 

サウンド性能に対する現在の流れですが、

まず「デュアルモード」についてお話

しなければならないでしょう。

以前のサウンド搭載製品は、基本的に

DCCコントローラーでのみサウンドを

楽しむことができました。つまり、それまでの

アナログ(DC)コントローラー(パワーパック)

では車輛にサウンドボードが搭載されていても

サウンドを聴くことはできませんでした。

ところが、昨今のDCC&サウンド搭載車輌は、

このデュアルモードがほとんどで、

アナログ(DC)コントローラー(パワーパック)を

使用した場合にもサウンドが自動で聴けるのです。

けれども、スイッチ等でサウンドを個別操作する

ことはできません….でした!

そしてこれも進化の一部として、アナログ(DC)

コントローラーでありながらサウンド機能を制御

できるコントローラーも既に製品化されています。

MRC社の「TECH 6 SOUND CONTROLLER」

が現在まで唯一でしたが、2015年には

カトーも同一コンセプトの製品を発売予定です。

やはりDCC化が急速に進み過ぎ、「DCCは

必要ないがサウンドは聴きたい!」という

DC愛好家たちの強い要望が実現しています。

こうなると、DCC回路というものは既存のDCモード

でデジタルサウンドを楽しむためのツール!

という考え方もできてしまうわけです。

これはDCCの今後の新たな潮流と

なるのかもしれません。

※ここでご注意していただきたいポイントが

一つあります。

少なくともこれらのアメリカ製デュアルモード

DCC(サウンド搭載有も無も)鉄道模型を

アメリカ製以外(例えば日本製カトー、トミックス

天賞堂等)のアナログ(DC)コントローラーにて

運転される場合には、必ず

「純粋な直流制御のアナログ(DC)コントローラー」を

お使いください。 日本製の一部にもあります

直流電流以外の信号(デジタル信号等)が

付加出力されるアナログ(DC)コントローラー

(ライト点灯、スピード制御等に特別機能が備わっている)

を使用されますと、DCC回路やサウンド回路等が

破損してしまう可能性が多分にあるからです。

ケンズタウンでの検品用アナログ運転には

KATO製パワーパックMODEL NO.22-020

を使用しております。

 

この他にも、現在は常識になっている

シンクロ機能があります。 車輛の走行スピード

の変化に伴ってサウンドもリニアに変化する

機能です。 一番有用なのが蒸気機関車の

「Chuff(チャフ)サウンド」です。 いわゆる

蒸気の「シュッ、シュッ!」というSLの代名詞的

サウンドです。 走行スピードにシンクロ(同期)

して「シュッ、シュッ!」の速度が変化する様子は

必ずや大人もわくわく感動できるリアルさです。

その他、最近の動きでは8ビットから16ビット

へのサウンド解像度、サウンド種の大幅改善など

進化はまだ止まりません。

 

本来ならもっと初期の段階でこのような

情報をお届けしたほうが良かったかなと

反省しております。

また性能的な革新等ありましたら、第二回など

お届けしたいと思います。

それではみなさま、次回までさようなら(^0^)/