カリフォルニア・ゼファー(California Zephyr) その2

お待たせいたしました、カリフォルニア・ゼファーの

続きです。

今日の午前中に脳みそに詰め込んだ「一朝漬け」知識

をこれから一気に出力いたしますね(^o^)

各所から行き当たりばったりにかき集めた情報を

ここに整理・記録させてください。 明日になれば自分の

頭には殆ど残っていないでしょうから(^-^;)

みなさまにしっかりと記憶していただければ幸いです。

それでは、はじまりはじまりー。

 

カリフォルニア・ゼファーの客車たちは全て「バッド・カンパニー

(Budd Manufacturing Company)」というもともと鉄材料を主に

扱う会社が製造しました。 1912年にEdward G. Buddという

方がフィラデルフィアに立ち上げました。 その後、1930年代から

1980年代にかけてこの会社の隆盛を牽引したオリジナル技術が

あります。 1932年に、この会社のエンジニアであった

Earl J. Ragsdaleという方が開発した「ショット溶接(Shot Welding)」

という技術です。 これはそれまでにもあったスポット溶接の一種です

が、ステンレス鋼などの溶接に関して飛躍的な進歩を促しました。

この当時より、すでにステンレス鋼はあったのですが、クロムとニッケル

を多く含有するこの材料は加工が難しく、特に接合を必要とする

製品には不向きとされていたのでした。 現在もJIS規格のSUS403

などで有名な18-8ステンレス(クロム18%、ニッケル8%)は

高い耐食性(錆びにくい)が特長ですが、それまでのスポット溶接技術

ではこの一番の特徴である耐食性と、さらに疲労強度までもが劣化

してしまったのです。 しかし、前述の技術者は溶接時の印可電流値や

保持時間等の最適条件を絞り込むことで、前述のような特性の劣化の

ないステンレス鋼接合を完成させました。 そしてこれが、バッド製

フルステンレス車体の隆盛の根幹技術となったのでした。 そのころの

他社のステンレス車輌は、この技術を使えないため特に車輛内部は

それまでの通常の重い鉄鋼材が使用されていたそうです。

ちなみに日本の当時の東急車両は1959年にバッド社と提携し、

この技術を使用して1962年からの東急7000系ステンレス車

の製造に役立てました。

そしてこのBudd社が最初に製造したステンレス特急が

「THE ZEPHYR」(バーリントン鉄道)です。

後に言うパイオニア・ゼファー(Pioneer Zephyr)です。

3両編成で、先頭車がディーゼルエンジンを搭載しています。

正確にはアァティキュレイト式3両なので、台車は4個

(連結部に1個)です。

1934年5月26日、デンバーからシカゴへ総1015マイル

(1624キロ)をノンストップで13時間余り。 平均時速

77.6マイル(約124キロ)で新記録を樹立したのでした。

 

前置きが随分長くなってすみません。

さて、カリフォルニア・ゼファーの客車編成(コンシスト(Consist))です。

1949年のデビュー時、1950年代、1960年代の典型的な

編成を次に示します(先頭牽引機側から)。

1.1949年頃(全11両編成)

①荷物車(Baggage Car) 1両

②ビスタドーム(Vista Dome Car) 3両

(VISTA(ヴィスタ):展望、眺望のことです)

③ドームビュッフェ(Vista Dome Buffet-Lounge Car) 1両

④10-6型寝台車(10-6 Sleeper) 2両

⑤48席食堂車(48-Seat Dining Car) 1両

⑥16セクション型寝台車(16 Section Sleeper) 1両

⑦10-6型寝台車(10-6 Sleeper) 1両

⑧食堂付ドーム展望車(Vista Dome Buffet-Lounge- Observation) 1両

2.1950年台(全12両編成)

①荷物車(Baggage Car) 1両

②ビスタドーム(Vista Dome Car) 3両

③ドームビュッフェ(Vista Dome Buffet-Lounge Car) 1両

④48席食堂車(48-Seat Dining Car) 1両

⑤6-5型寝台車(6-5 Sleeper) 1両

⑥10-6型寝台車(10-6 Sleeper) 2両

⑦16セクション型寝台車(16 Section Sleeper) 1両

⑧10-6型寝台車(10-6 Sleeper) 1両

⑨食堂付ドーム展望車(Vista Dome Buffet-Lounge- Observation) 1両

 

3.1960年台(全12両編成)

①荷物車(Baggage Car) 1両

②48座席車(Flattop Coach) 1両

③ビスタドーム(Vista Dome Car) 3両

④ドームビュッフェ(Vista Dome Buffet-Lounge Car) 1両

⑤48席食堂車(48-Seat Dining Car) 1両

⑥6-5型寝台車(6-5 Sleeper) 1両

⑦10-6型寝台車(10-6 Sleeper) 3両

⑧食堂付ドーム展望車(Vista Dome Buffet-Lounge- Observation) 1両

連結順では、デビュー当時ドームビュッフェと食堂車の間に

あった2両の10-6型寝台車が後尾にまわされ、6-5型寝台車が

新たに追加されています。 60年代になると後ろ寄りに連結されて

いた16セクション寝台車が48座席車に改造され荷物車のすぐ後ろに

連結されました。

車輛の種類は全時代で、荷物車、ビスタドーム車、ドームビュッフェ車、

48席食堂車(4人掛けテーブルが12個ですが、冬場は4テーブルが

2人掛けに変更され40席に)、48座席車(16セクション寝台車の改造)、

寝台車3種(10-6型、6-5型、16セクション型)、

ドーム展望車の9種になろうかと思います。

実は、ビスタドーム車には車掌室(窓)付と無しの

2種あるので厳密には10種になります。

 

それぞれの車両には個別に車体番号がありますが、

荷物車を含めてこれら全ての車両には「Silver」で

はじまるネーミングがされており、車体の側面に大きく

レタリングされています。

製造された以上10種の車両はトータル77両ほどで

シカゴ・バーリントン&クインシー鉄道(CB&Q)、

デンバー&リオグランデ・ウェスタン鉄道(D&RGW)、

ウェスタン・パシフィック鉄道(WP)に分配納入されました。

 

さて、前回の冒頭でご紹介しました、ブロードウェイ社が

このたび発売したHOゲージの客車は全部で9種あります。

改造された48席コーチだけが今回は製品化されていません。

一方、以前にKATOが発売したNゲージの客車は

全部で8種です。 48席コーチと6-5型寝台車がありません。

そういう意味では、ブロードウェイ製では60年代の編成は

再現できず、KATO製ではデビュー当時の編成しか再現

できません。 ただ、改造後の48席コーチの外観が

16セクション型寝台と殆ど同一であるなら60年代の

編成も可能となりましょう。

 

さて、「シルバー・レイディ(Silver Lady)」の異名をもつ

カリフォルニア・ゼファーですが、3種ある寝台車について

もう少し詳しく見ていきましょう。

寝台車の外寸は3種とも

幅:約299センチ 高さ:約411センチ 長さ:約2584センチ

となっています。 この車体の内部は以下の3種のベッドルーム群

に仕立てられました。

1.「16セクション型寝台車」

この車両は名前の通り、内部が16個のセミオープン型

スペース(セクション)に区切られています。 それぞれの

スペースは基本的には大人2人用ですので、1両では

32人が寝られる基本仕様です。 洗面とトイレは共同で

車輛の両端に男性用スペースと女性用スペースが

作られています。 もっともエコノミーな寝台車と

言えるでしょう。

2.「10-6型寝台車」

この車両種は正式には

「10-Roomette / 6-Double Bedroom Sleeper」

と表記されています。

バッド製の場合、車両のほぼ中央部で

Roomette10部屋のスペースとdouble Bedroom6部屋

のスペースがわかれています。

「Roomette」は「ルーットゥ」と読みアクセントは「」に

あります。エコノミー型の小さな独り用個室で通常トイレは

なく洗面スペースのみでベッドも不使用時は壁に収納される

タイプです。

「double Bedroom」はいわゆるデラックスベッドルームで

通常はシャワー室とトイレが装備されています。 ただ

この車両の場合は、シャワー&トイレ付の3部屋を

仕切って6部屋として使用したのかもしれません。

内部写真が見つからず、文章と図面だけでは

はっきりとわからずすみません。

3.「6-5型寝台車」

この車両種は正式には

「6-Double Bedroom / 5-Compartment Sleeper」

と表記されています。

シャワー室とトイレ室が装備された部屋が

ベッドルームスペースとコンパートメントスペース

(ちょっとした居間)に折り畳み式パーティション(パーテーション)

で分割できる仕組みになっています。

基本的には1ベッドルームと1コンパートメントが

1セット(一部屋)で、それが5組ある車両ですが、

車両の端に1つだけベッドルームのみの部屋があるので

6ベッドルーム/5コンパートメントとなります。

 

これらの名称の他に、寝台車によく出てくる

単語として「Drawing Room」なるものがあります。

これは豪華仕様の車両に作られている

いわゆるお客様の接待用「応接間」のこと

と理解できます。

 

現在もアムトラック(Amtrak)の寝台車で

同名の車両が使用されているようですが、

当時の乗客の人々がどのようにこれらの

部屋で過ごしていたのか、想像しかできないのが

とても悔しいです。

 

以上、今回も大変な長文を最後までお読みいただきまして

ありがとうございました<(_ _)>

それではみなさま、また次回までさようなら(^0^)/

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カリフォルニア・ゼファー(California Zephyr) その2」への2件のフィードバック

  1. ブン太郎さま、コメントありがとうございます。
    カリフォルニアゼファーでのご縁に感謝いたします。
    カリフォルニアゼファーの当時物公式プロモーションフィルムを
    ご紹介いただきましてありがとうございます。 私自身、同時代
    の寝台特急がお気に入りですので、20世紀特急(NYC)を初め
    とします各鉄道の看板列車の各種写真は見ていますが、今回の動
    画は初めてでした。
    私が感動しましたのは、実は「アスペンリーフスキーム」を纏った
    PA(D&RGW)の動画を初めて見せていただいたことです。この
    スキームはシルバーレディのデビューに合わせて同鉄道が新採用し
    たシルバー主体の塗装ですが、その後1年前後でスキームが変更さ
    れたため短期間の貴重なペイントとして有名です。この話もどこか
    で書かせていただきました。
    ですので、ブロードウェイ社PAの第二期発売の中にこのペイント
    スキームが入ったことをとても嬉しく思いました。
    フィルムの中ではE5からのバトンタッチの場面こそありませんで
    したが、渓流沿いでアスペンリーフのPA-PB-PA同士がすれ
    違う場面は最高でした。 本当にありがとうございました。

  2. こんにちは、お初にコメントさせていただきます。
    2017年の正月明けに近所の中古模型屋でKato Nのカリフォルニアゼファー中古品をみつけ、列車について調べているうちにこちらにたどり着きました。アメリカの雄大で野性味のある風景の中を駆け抜けるこの列車はとても魅力的と想像はしていたのですが、検索しているうちに、1950年代のプロモーションビデオを発見しましたのでご紹介申し上げます。私はこの動画をみて、完全にやられ、中古のシルバーレディーのセットを購入してしまいました。牽引はWPのF3 ABBですが、CB&QのE5A+B+Aをいつかなんとかしてやろうと思っています。
    グーグルで1950’s California Zephyrでヒットしてきました。すでにご存じかもしれませんがVista Domeからの眺めやラウンジでのスナック、食事風景、昼間の応接室から寝台を組み立てるシーンなどもありとても興味深いものでした。30分くらいです。
    https://archive.org/details/70922CaliforniaZephyr#

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