以前にもここでお話したことがあるかもしれませんが、
蒸気機関車の最終進化型車輪構成(ウィールアレンジメント)は
4-8-4であるというのが定説です。 この4-8-4は、高まる
物資と旅客の大量輸送と高速移送の切実な要望から、高速貨物
列車と高速旅客列車用途として生まれました。
パワーを効率よく伝達し、かつ高速運行にマッチする8輪の大径
ドライバー(動輪)。 そのハイパワーを生み出す巨大かつ重量級
ボイラーを支えることができる4輪トレーリングトラック(従輪)。
そして、高速運行時も快適な操舵と確実なコーナー追従性を約束
する4輪リーディングトラック(先輪)。
一般にはこの4-8-4型は「ノーザン(Northern)」と呼ばれています。
1927年1月、ノーザン・パシフィック鉄道が全米で初めて4-8-4
型をアルコ(Alco:American Locomotive Company)から購入しました。
アルコは、それまでの4-8-2型のボイラーを大型化し、重量増を
4輪トレーリングで支えました。
これを機に、4-8-4型は「ノーザンパシフィック」という名前で呼ばれ
ましたが、すぐに「ノーザン」と短縮形で呼ばれるようになりました。
その後、このノーザン型はアルコの他、ボルドウィン(Baldwin)や
ライマ(Lima)などでも製造され、北米では36の鉄道会社がトータル
1126両もの4-8-4を所有していたと言われています。
実はこの「ノーザン」は通称で、鉄道会社によっては独自のネーミング
をしました。 当然ノーザン(北の)のネーミングを受け入れられない
サザンパシフィック鉄道(SP)は購入した4-8-4型(ボルドウィン10両、
ライマ60両)をゴールデンステート(Golden State: GS)と呼びましたし、
ニューヨークセントラルではアルコ製全28両を「ナイアガラ(Niagara)」
と呼びました。その他、C&Oでは「グリーンブライアー」、N&Wでは
「J」、ユニオンパシフィック(アルコ45両)では「FEF(Four-Eight-Four)」と
呼びました。
さて、このノーザン型の中で最も有名と言われるユニオンパシフィックの
FEFが2014年末もしくは2015年始あたりにNゲージでKATOから
発売されるかもしれません。 今、北米ではKATOの動向に注目が
集まっています。
KATOが発売するかもしれないFEFはクラスFEF-3、#844
の予定です。
ユニオンパシフィック鉄道はトータル3回のロットで計45両のFEFを
アルコから購入しました。クラスFEF-1(#800~#819)と呼ばれる
20両は1937年に納入され、同様にクラスFEF-2(#820~#834)
15量は1939年、クラスFEF-3(#835~#844)10両は1944年
納入です。 納入当社の仕様では、燃料は石炭だったのですが、
第二次世界大戦後、度重なる労働者のストライキなどで石炭の
安定供給に不安をいだいた同社は、所有していたFEFを重油燃焼方式
(Oil Burning System)に改造しました。 それに伴い炭水車には
クラスFEF-1では6550ガロン(24793リットル)、クラスFEF-2,
クラスFEF-3では6000ガロン(22711リットル)のオイルタンクを
装備しました。
KATOが発売予定のFEF-3は#844ですが、前述のとおり
この機体はFEF-3の中の一番最後に納入されたものです。
しかも、この機体は1944年から現在まで70年間、第1級路線で
ずっと走り続けている北米で唯一のノーザン型なのです。
当然アメリカで#844と言えばこの機体のことなのです。
(ディーゼル車のナンバーリングとの混同を避けるために
しましば#8444としても記述されます)
いわゆる定価はまだ発表されていないようですが
(2014年8月7日現在)、FEF単体なら3万円台
くらいになるのかもしれません。 以前にも同様の
アナウンスがありながら結局発売は延期された経緯
もあるので、今回ももしかしたら流れるかもしれません。
KATOは過去に「MIKADO」とサザンパシフィックの
名機「GS-4」(実機#4449が現存)を製品化した
実績があり、特にGS-4は全米で高評価を得ました。
過去にブラスモデルでは「KEY IMPORTS」が
NゲージでFEFを商品化していたことはありますが、
(ケンズタウンではブラスFEF-2を一両在庫)
発売されれば、プラスティック製ではKATOが初めて
となるのかもしれません。 現段階の情報では、
発売予定の機体はアナログ車で、DCCやサウンドの
標準搭載はなさそうです。
今、アメリカの鉄道模型業界はこのNゲージFEFを巡り
KATOの情報発信に注目しています。
アメリカの鉄道模型店舗では、すでに商品が品薄となる
予測から、定価の正式発表が無いままこぞって予約受付
を開始しています。
ケンズタウンにおきましても、台数は未定ですが予約を
検討中です。 もしも、お客様の中でご予約をご希望、もしくは
製品に関します予約システム等のお問い合わせがござい
ましたら、どうぞお気軽にケンズタウンのトップページにございます
「お問い合わせ」からご連絡ください。
お問い合わせページ⇒https://www.kens-town.jp/?mode=mailForm
追加情報
製品は5種、商品番号と内容、予価(変更有り)は以下の通りです。
126-0401 : ユニオンパシフィックFEF-3#844 ブラック塗装
アナログ車 予価 275ドル
126-0401-1 : ユニオンパシフィックFEF-3#844 ブラック塗装
デジタル車(DCC搭載済) 予価 310ドル
106-085 : ユニオンパシフィック、ウォーターテンダー2両セット
予価 79ドル
106-086 : ユニオンパシフィック、EXCURSIONトレイン7両セット
予価 250ドル
106-086-1 : ユニオンパシフィック、EXCURSIONトレイン7両セット
室内灯装備済 予価 350ドル
備考: EXCURSION⇒デイトリップなど、短期旅行のことです。
詳しくはKATO USAのホームページで。
http://www.katousa.com/N/FEF/index.html