アメリカ車輛の大きさの実際。

前回はアメリカ型の魅力についてお話しましたが

車輛の大きさをその理由に挙げる方も多くいらっしゃる

ことでしょう。 「大きいことはいいことだ」などといいうと

年齢が出てしまいますが、特に動物である人間のこと

オスにとっては大きいこと、強いこと(力もちである)は

本能的に魅力的なのかもしれませんね。

アメリカ在住時に見ていたテレビ番組に

「HOME IMPROVEMENT(ホームインプルーブメント」という

コメディードラマがありました。 プロ顔負けの日曜大工専門家である

主人公のティム・テイラーは別名「道具屋テイラー」

と呼ばれるほど道具が大好きでそれだけに詳しい。

しかし、彼が憧れるのはただの道具ではなく

大きかったり並外れたパワーがあったりするものたち

ばかり。 通常品とのそのパワーや威力の違いを

見せつけようとしてそれがコメディー的失敗に終わる

という毎回の結末でした。

さてさて、話を車両の大きさに戻しましょう。

いつかここでもお話した通り、アメリカ型のNゲージは

縮尺が160分の1で日本型の150分の1とは異なります。

しかし、見た目の車両の大きさは殆どかわらないことは

周知のとおりです。 ちょっと頭の切れがいいかたなら

縮尺が違うのに大きさが同じということは本来の大きさが

根本的に異なるということに既にお気づきでしょう。

では実際に、倍率として(数字として定量的に)どれくらい

大きいのか? エンジニアとしての職業病でしょうか、

そこがわからないと気持ちが落ち着かなくなりました。

まずは蒸気機関車を比較してみましょう。

日本のD51やC62は全長がそれぞれ19,730mm、

21,475mmあります。 もちろん全長と言えば

炭水車まで含めた長さです。 しかし、調べてみると

アメリカ型蒸気機関車の全長データが日本型のように

簡単には出てきません。 おそらく日本と異なり、

その路線やそのときの運行距離や事情によって異なる

大きさ、長さの炭水車を使い分けることも多いアメリカ型の

事情のためなのではないかと推測します。 では

何で比較するか。 あとはドライバー径で比較するしか

ありません。 以下ドライバー径の比較です。

D51 : 1,400mm

C62 : 1,750mm

これらを例えばビッグボーイなど車軸構成の異なる

蒸気機関車で比較してもまり意味がないので、

ここではそれぞれと同じ車軸構成の蒸気機関車と

比べてみました。 D51については2-8-2型の

「Mikado」でありC62に対しては4-6-4型の

「Hudson」です。 しかし、それぞれには製造会社

や年代によりいくつもの異なるディメンジョンの機体が

存在するため、独断で自分の好きなニューヨークセントラルで

使用された機体のデータを使わせていただきます。

すなわちMikadoについてはH-10A型を、Hudsonに

ついてはJ1e型のデータです。

Mikado H-10A  : 1,600mm

Hudson J1e  : 2,006mm

ドライバー径ではそれぞれ、1.143倍、1.146倍程度

であることがわかります。

けれどもこれらのデジタル倍率では全体としての大きさの

違いのイメージがつかめませんね。

そこでこれらのデータを使って全体の大きさの違いを

画像で比較してみることにしました。

Mikado vs. D51

Mikado vs. D51

 

 

 

 

 

 

Hudson vs. C62

Hudson vs. C62

 

 

 

 

 

 

いかがでしょうか、イメージがつかめましたでしょうか。

博物館などで実物を比較展示すれば3次元的により正確に

その違いが体感できるのでしょうが現在はそういう場所が

あるのかどうか私にはわかりません。

さて、今度は電気機関車とディーゼル機関車の比較です。

これらについてはどちらも容易に全長データが見つかった

ため、全長データでの比較です。 選んだ日本型は

EF58とDD51、対するアメリカ型はGG1とダッシュ9(C44-9W)

です。 以下全長データです。

EF58 : 19,900mm

DD51 : 18,000mm

GG1  : 24,230mm

Dash9 : 22,300mm

これらのデータをもとに作成した比較画像を以下に示します。

GG1 vs. EF58

GG1 vs. EF58

 

 

 

 

 

 

Dash9 vs. DD51

Dash9 vs. DD51

 

 

 

 

 

 

百聞は一見にしかずですね。

DD51はエンジンを二基搭載しているので、比較すべき

アメリカ型もエンジンが二基のDDA40Xあたりが妥当かも

しれませんが、こちらは全長30メートルの異端児ですので

反則であると判断しました。

これで自分的にはかなりすっきりしました。 ご覧いただけた

皆さん方にも「アメリカ型は大きい」の実際をイメージでご理解

いただけたのではないでしょうか。

 

それではみなさま、また次回までさようなら(^0^)/