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「はーい、スケールモデルのみなさーん、
それでは、これから健康診断をはじめ
ますので、お友達とおしゃべりしないで
静かに順番を守って並んでくださーい!」
「最初は体重測定になります。 体重
計の真ん中に立ったらじっとしてください
ねー。」
「測定がおわった人は、そのあとお医者
さんの問診がありますから、となりの部屋
へ移動して下さーい。」

「はーい、静かにしてちゅうもーく!」 「それではこれから体重測定をはじめます。」 「うしろの段ボール箱くん、先生の声聞こえてますかー?」 「イルカさーん、前の人を押さないようにー!」 「そこ、CB750くん、横の人に話しかけない!」 「はい、前にならえ!」 「測定がおわったひとから、問診をうけてくださーい!」
「最初は、段ボール箱くん、
こっちへきて秤にのってください」
「はい、10グラムですねー」
「それではつぎー、
ダッシュ9くん、ゆっくりのってー」
「はい、118グラムです。」
「つぎは、となりの部屋で問診を
うけてください。」
-問診の部屋-
「はい、次のおともだちー」
「ダッシュ9くん・・・だね。」
「測定結果が、118グラムと。」
「えーっと、きみの実物くんの体重は・・・
190トン(190,000キログラム)だね。」
「きみのスケールはいくつだっけ?」
「はい、Nゲージで160分の1です。」
「じゃー、きみのスケールダウン後の標準
体重はだいたい46グラムだよ。
きみは標準体重の2.5倍(118÷46)
以上もあって、ずいぶん重いんだねー」
注)「標準体重」: 実物を素材などは
そのままに、大きさだけを小さくした
時の重さ。
「あれ? せんせー、ぼくの標準体重
は190トンの160分の1じゃないんで
すか?」
「いやっ、きみの場合は160の3乗分の1
が標準になるんだよ。」
「えーっ???」
「じゃー、きみの前に測定した段ボール箱
くんの例で説明するよ。」
「あー、段ボール箱くん、ちょっとちょっと。」
「はーい、何ですか、せんせー」
「きみの体重は10グラムだったねー」
「はい。」
「きみのスケールはいくつだね?」
「えーっと、10分の1です。
実物段ボール箱くんの一辺の長さが
100センチで僕は10センチなんです。」
「あー、じゃースケールは10分の1で
あってるね。」
「実物くんの重さは10キロ(10,000グラム)
だそうだけど、実物くんの大きさ(体積)はきみの
いくつ分だね?」
「えーっと、横に10個、縦に10個、高さに10個
並べるから・・・はいっ、10×10×10で1000個
分です!」
「なるほど、きみのスケールは10分の1だけど、
10分の1なのは横だけじゃなくて、縦も高さも
10分の1だから、大きさ(体積)は、10×10×
10で10の3乗分の1になるわけだねー。」
「実物くんの重さが10キロ、つまりきみが
1,000個集まって10,000グラムあるわけ
だから、きみの標準体重は10,000ブラム
÷1000で、10グラムだ。
おーっ、だからきみは標準体重ぴったりだよ。」
「はい、ありがとー、もう行っていいよ。」
「じゃー、ダッシュ9くん、わかったかね?」
「うーんと、僕は、縦も横も高さも160分の1
だから、実物ダッシュ9くんの大きさ(体積)は
ぼくの(160×160×160=4,096,000)倍
になるわけですか?」
「そのとおりだよ (^_^)」
「実物くんの重さ190トンをこの数で割った
ものが、さっきせんせーが言った標準体重の
約46グラムになるわけですね。」
「そうそう、例えばドラえもんの”スモールライト”
で実物をNゲージサイズにしたら46グラム
の重さになるってことだよ。」
「じゃー、せんせー、どうしてぼくは標準体重
の2.5倍もあるんですか?」
「それはね、きみの体の中に実物の鉄より
ずっと重い鉛合金がぎっしり詰め込まれて
いるからだよ !(^o^)」
「なるほどー!」
「確かに実物くんの中にたくさんある隙間は
ぼくの中にはほとんどないものね。」
「せんせー、わかったよ。 でもぼくはたくさん
のお友達を引っ張らなきゃだから、ダイエットは
しないよ?」
「あー、しなくていいと思うよ。」
「じゃー、きみの番はこれで終わりだ。
おっと、後ろに長い列ができちゃったね。」
「サンダーバード4号くん、もうちょっと
まっておくれ。」
「ダッシュ9くん、次はまた隣で車輪科
検診があるから急いでいっといで。」
「はーい、せんせー、ありがとうございました!」
こうして、スケールモデルのみなさんは無事に
春の健康診断を受けたのでした。
おわり
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