勾配表示は北米も日本も比率です。

 

 

 

本日もケンズ鉄道にご乗車いた

だきありがとうございます。

 

横川駅に到着すると電気機関車

をつなぐために10数分停車します。

これから軽井沢へと続く急勾配は

特急あさまの能力だけでは不十分

だからです。

横川駅を発車すると、それまでと

は違う「ガッタンゴットン」という

表現がぴったりな速度で急勾配

の真っ暗なトンネルをゆっくりと

登ってゆきます。

 

「新幹線がかいつう

するまでは、とっきゅうの

あさまやったねー (^^ 」

 

そう、出張で東京方面ということ

になると、小諸や軽井沢から

2時間以上かけて朝早くから

出かけていたことを思い出すよ。

 

ご存知の碓氷峠は当時日本で

一番急勾配の難所として知られ

ていました。

軽井沢駅前には、初代アプト式

EC40が展示されていたり、側溝

の蓋にアプト式のギアレールが使

われていたりと、その名残りを感じ

ることができました。

 

急勾配でも北米で随一として知

られるのは、インディアナ州の「マディ

ソンインクライン」と呼ばれる場所

です。

マディソン鉄道 勾配 0-10-0T Reuben wells マディソンインクライン madison incline

インディアナ州とケンタッキー州の州境にあるオハイオ川沿いにあるマディソン西部から北東へ約40キロの路線を持つマディソン鉄道。

旧ペンシルバニア鉄道管轄の路

線内(現マディソン鉄道(Madison

Railroad))にあり、北米の

標準軌鉄道の中で最も急勾配

とされています。

 

「ほな、うすい峠とマディソン

ではどっちが急なん? 」

 

マディソンインクラインの上り坂は、

5.89パーセントで、碓氷峠は

66.7パーミルなんだよ。

 

「えー、単位がちごてるし

そんなんわからへんやん (-_-? 」

 

じゃー、北米と日本の勾配表

示についてちょっと話すね (^^

 

北米の勾配の単位は100分率

の「パーセント」です(勾配のことを

「グレード」といいます」)。 一方

の日本では、1000分率の「パー

ミル」が使用されます。

重要なことは、単位が異なっても

どちらも水平距離に対する高さ

の比率で表示されている点です。

(余談になりますが、金属の純度

は通常100分率で表されます

が、銀の純度は通常1000分率

で表されます。 こういうことは

よくありますよね。 金はカラット

(K)で表示されるパターンもあり

ます、24K、18Kなど。)

 

北米の定義は、水平距離100

フィートに対して何フィート登った

かで表され、日本では水平距離

1000メートルで何メートル登っ

たかで表されます。

つまり、マディソンインクラインは、

水平に100フィート行って5.89

フィート登る坂、碓氷は水平に

1000メートル行って66.7メー

トル登る坂ということになります。

 

 

「・・・まだわからへん (>_<) 」

 

じゃー、絵に描いてみようね。

碓氷峠 マディソンインクライン マディソン鉄道 パーミル パーセント 5.89 

勾配の表示は北米も日本も水平距離に対する高さの比であらわしますが、100分率(パーセント)と1000分率(パーミル)の表示方法の違いがあります(上はマディソンインクラインで活躍した1868年製造 0-10-0T Reuben Wells 蒸気機関車)。

 

水平に進む距離を「A」、登る

高さを「B」としています。

北米表示では、Aが100フィート

(30.48メートル)に対してBが

hフィートで「hパーセントの勾配

(グレード)」と表記されます。

日本の表示では、Aが1000メ

ートルに対してBがHメートルで

「Hパーミルの勾配」と表記され

ます。

単位が異なってもどちらもB/A

(A分のB)を計算しているので

簡単に言い換える(換算する)

ことができます。

もっと言えば、B/Aはただの

比率なので何分率かにだけ注意

すれば勾配が同じなら使われる

数字はどちらも全く同じなのです。

 

100分率の5.89パーセント(マ

ディソン)は1000分率では58.9

パーミルですし、1000分率の

66.7パーミル(碓井)は100分

率では6.67パーセントという

わけです。

ただし、どちらの場合も坂の水平

距離がちょうど100フィートや

1000メートルであるはずがない

ので、それより短い場合も長い

場合も、それらの水平距離に換

算して表現されることになります。

例えば、マディソンインクラインでは、

坂の総水平距離が約6,995

フィートに対して412フィート登る

ため、B/Aは412/6995=

0.0589となり、100分率で

5.89パーセントとなります。

そしてこれを1000分率で表すと

58.9パーミルとなります。

 

「ははーん、ほなうすい峠

のほうが、ちょっとだけ

急なんやね !(^^ 」

 

その通り! d(^o^)

 

もうひとつの注意点は、「A」が

「水平」距離であるという点で

す。

定義を「何メートル、または

何フィート上り坂をすすんで・・・」

としてしまうと、これは「A」では

なく「C」の距離を意味して

しまい、厳密には坂の角度

(θ)の計算値が異なってきます。

 

「はーい、りょうかいっ! (^^ 」

 

パーセントとパーミルの理屈が

面倒だったら小数点を一桁動かせ

ばいいよ ・笑・

66.7パーミルだったら小数点

を一つ左に動かして6.67パーセ

ント、5.89パーセントだったら

右に一つ動かして58.9パーミル

って具合にねっ (^^

 

「なるほどー

それはかんたんやね (^^ 」

 

今日は、鉄道の勾配表示に関する

日米の違いについてお話しました。

さて、きみの人生の坂の勾配は

今どれくらいかな?

 

「うーーん・・・、

て、それチコちゃん風のしつもん

やん! 笑 」

 

ばれたかー ・笑・

 

それではみなさま、

また次回までさようなら (^0^)/