フィードバックで滑らかな低速。 ー Back EMF機能 ー

本日もケンズレールロードに

お越しいただきまして

ありがとうございます。

 

ご存知の通り

昨今の鉄道模型の

進化には

目を見張るものがあります。

特にNゲージと

HOゲージでは、

外観のディテールは

言うに及ばず

駆動系のデジタル化で

より実物に近い動きと

複数車両の制御が

可能になりました。

そして何より

耳を楽しませてくれることは

ファンにとって

大きな魅力となりました。

 

動力車両の動きは

より滑らかになり

そのおかげで

蒸気機関車などでは

ロッド類の動きが

しなやかさを

増して見えます。

 

「大昔のNゲージは

突然動き出して

突然止まる

なんや

ねずみみたいな

感じやったもんね (^^)」

 

そうだったね(^^)

 

そんな動きを少しでも

よくするために

フライホイールが

使われるようになりましたし、

日本では

アナログコントローラーの

パルス制御(PWMなど)が登場し

普及しています。

 

「そやけど、

アナログ(コントローラー)の

パルス制御は

デジタル車と

相性が悪いなー ・涙・」

 

そうだねー、

どちらも良くしようと

がんばった結果なのに

残念だねー。

 

ご存知の通り、

日本で製造されている

パルス系の

コントローラー(パワーパック)を

デュアルモードの

デジタル車両で

使用すると

走行や照明が

うまく機能しなかったり

回路などにダメージを

与える場合があります。

 

現在北米で標準になっている

デジタル制御システムでは

デジタル信号の通信に

PWMと呼ばれる方式が

採用されています。

PWMは

パルスウィデゥスモジュレーション

(Pulse(波) Width(幅) Modulation(変調))の略で

パルス幅の違いで

デジタル信号を

表現(変調)させる方式です。

 

「なるほど、わかった・・・

デュアルモードのデジタル車は

日本のアナログコントローラーから

出てくる同じPWM方式の信号で

わけがわからへんようになるわけや。」

 

その通り!

いわゆる混信に似た

誤動作状態だね。

 

以前、

アメリカのメーカーの

担当者に

日本での

この困った特殊な事情について

話をしたことがあります。

私の方から、

「日本では多くのファンが

混乱を招いているので

メーカーの方から

何かこの件について

公式に発表してもらうことは

できないか?」

と、聞いてみたところ、

その担当者の返答は、

「世界の他の場所でも

同様のことが起こってきたけれども

デジタル化が普及すると

みな解決して行きました。

日本でも、遅かれ早かれ

デジタル化されるでしょうから

それまでもう少し待ってください・・・」

とのことでした(^_^;

 

「あれっ?

おじちゃん、その話

前もせぇへんかった? 笑」

 

あっ、

聞くのが2度目の方は

すみません、てへへ(^-^;

 

実は、今日は

こういうことをお話したかった

わけではないのです。

デジタル技術の中でも

最近のデジタル車両の

スペックに登場する

「Back EMF(BEMF)」機能について

お話したかったのです。

 

BEMFとは

Back Electromotive Forceの略で

つまりは「逆起電力」のことです。

最近の教育課程では

どのような扱いになっているか

わかりませんが、

中学か高校で

起電力(EMF)と

逆起電力(BEMF)のことを

習ったように思います。

 

電線の近くで

磁石を動かすと

電線に電流が流れるとか、

モーターを手で回すと

電流を作れるとか、

そういしくみのことです。

 

アナログであろうと

デジタルであろうと、

電流を流せば

モーターが回り

モーターが回れば

同時に

電流が作られます。

この作られた

電流の量は、

モーターの回転状況に

合わせて変わるため

これを読み取れば

車両の状態が

わかるというわけです。

 

「そやけど、

運転中は

モーターに

パワーパックから

電流をながしてるさかい

モーターからの電流なんか

わからへんやん。」

 

そうなんだよ。

でもね、デジタル制御では

(日本ではパルス式アナログでも)

運転中いつもずっと

電流を流し続けているわけじゃ

ないんだよ。

 

それが最初に話をしていた

パルス方式(PWM)の性質です。

コントローラーからの電流は

凸凹とした波(矩形波)のかたちで

電流を送り出すため

凸と凹の波の間に

電流を流していない時間が

できています。

この波(電流)のない間に

モーターからの

逆起電力を

読み取るしくみが

Back EMF又はBEMFと

呼ばれる機能です。

 

「ほな、

そのモーターからの

電流を読み取った

コントローラーは

何をしてるん?」

 

まずね、

この逆起電力でモーターが

作った電流は、

コントローラーではなく

デジタル車両に積まれている

デコーダー(変調された波を

もとのデジタル信号に戻す回路)が

読み取るのが

通常のデジタル方式なんだよ。

 

その読み取った電流の大きさと

デコーダーがモーターに命令を

出している

電流の大きさとを比べて

モーターへ送り込む

電流の量を

自分で考えて

加減するんだよ。

 

「あー、

僕も知ってる

フィードバック

ゆうやつ?」

 

うんうんそれそれ。

 

自分がモーターに命令している

電流量と

モーターからの電流量を

常に監視比較して

その結果をもとに

モータへフィードバックを

かけるしくみです。

 

例えば、

BEMF機能をもった車両なら

走行中になんらかの抵抗で

(手で止めようとするなど)

速度が下がると

車両はより速く走ろうとして

モーターの回転数を

自動的に上げます。

これは、

車両の速度が下がって

モーター(車輪)の回転速度が落ち

結果

逆起電力が下がった状態を

デコーダーが検知して

モーターの回転数を上げるため

送りこむ電流を上げようと

したためです。

 

つまり、

これが上り下りの坂であったり、

モーター自身の性能で

回転数が安定しない場合でも

デコーダーが、

一定速度に保とうとするなど

命令を受けた通りに

車両を動作させようとがんばる

賢い仕組みなのです。

 

現在のデジタル制御では

このフィードバックの回数は

なんと

一秒間に一万回以上(10キロヘルツ以上)

行われていて

低速走行時や

よりスムーズな

ゼロスタートにも

大きく貢献しています。

 

「Integral DCC Decoder with Back EMF

for Industry Best Slow Speed Operation in DC and DCC」

これは、

ブロードウェイ社の

蒸気機関車や、

発売が間近に迫っている

Nゲージ「AC6000ディーゼル」の

仕様一覧に書かれている

一文です。

訳しますと

「アナログでもデジタルでも

業界最高のスロー運転を実現する、

逆起電力機能を搭載した

インテグラルDCCデコーダー」

というわけです。

 

「つまりは

どこの国の人も、

本物のように

ゆっくり動き始めて

ゆっくりとまる、

そんな姿を

追い求めてるんやね。」

 

そう、

鉄道模型に対する

思いに

国境はないのだと思う。

だからこそ、

お互いが考えた

よいアイディアが

邪魔し合わないで

発展してゆく・・・

そんなかたちが

本当は

理想なんだよ。

 

「おじちゃん、

日本もいつかは

ぜんぶ

デジタル化されるん?」

 

どうだろうねー。

でも

そうなるにしても

そうならないにしても

おじちゃんが一つだけ

心配していることが

あるんだよ。

それはね、

「今のスマートフォンの

二の舞には

なって欲しくない。」

ということさ。

日本国内には

昔から

独自技術の

いわゆる

ガラケー(ガラパゴス携帯)の世界が

あったんだよ。

国内では

各メーカーが競い合って

日々進化し

皆が使いやすいよう

どんどんと

高機能化して行ったんだ。

けれど、

デジタル化の波と共に

スマートフォンが

世界標準となったのは

知っているよね。

ガラケーに思いの強かった

国内メーカーは、

スマートフォン技術で

遅れをとり

世界市場で

戦えなくなったばかりか、

国内市場でも

海外メーカーに

シェアを奪われることに

なってしまったんだよ。

 

「ガラケーがアナログ制御のことで

スマホがDCCのことやねんね。」

 

おじちゃんの

思い過ごしなら

嬉しいけどね。

なんだかわからないけれど

いつも心は

「がんばれ! 世界のニッポン!」

って、

叫んでいるよ・・・。

 

「大丈夫だよ、おじちゃん!

世界の日本、クールジャパンだもの!」

 

うん、

そうだよね、そうだそうだ v(^o^)

 

それではみなさま

また次回までさようなら(^0^)/