音と付き合う。

本日もここを訪れていただきまして

本当にありがとうございます。

 

さて、のっけからいきなりなのですが、

私は学生時代からオーディオファンでも

あります。 今もなお狭い部屋でダイアトーン

4WAYのバブリースピーカーなぞ

稼働させています。

いえいえ、ここでオーディオ談義など

するつもりはございません。 鉄道模型

がらみでオーディオと関係のある内容

といえば、やはりDCCサウンドになる

でしょう。  以前にここで鉄道模型メーカー

とDCCメーカーのペアリングの話を

したことがあります。 「TSUNAMI」やら

「LokSound」やら、自社で調達できない

メーカーは皆専門メーカーとタッグを

組んでいます。

 

デジタル機能の仕様に関しては、

アメリカ鉄道模型協会が規格を統一し、

業界混乱の事態は収束しました。

けれどもそれぞれのメーカーには

やはり音色を初めとする音質データの

内容に明確な差異があります。

 

以前から少し気になっていた音質、

それはあるメーカーのサウンドですが、

どうも音が高域に偏り過ぎているのです。

もちろん特にNゲージの場合、スピーカーを

含むデジタルシステムごと車両に

搭載する場合には自ずと格納スペースに

厳しい制約をうけます。 そのため

スピーカーは小型にならざるを得ず、

低域が犠牲になることは仕方のない

現象ではあるのですが。 ただ、

その中でもさらに低域が薄い・・・。

 

例えば音の低域に関して言えば

空気の振動具合を決める要素には

主に、スピーカー振動子(板)の総面積、

バッフルやエンクロージャーの

材質や形状などがあります。

そのメーカーのスピーカーは

エンクロージャー無しに、

DCCボードの一部に直接貼付されて

いました。 基板がバッフルとなり

ボディシェルがエンクロージャーの

役目といったイメージでしょうか。

確かに基板から外してしまうと

出てくる音はイヤホンのような

シャカシャカ音になってしまいます。

それなりにバッフル効果があるわけです。

 

では、さらに低域を厚くする方策は

ないものか。 エンクロージャー付の

スピーカーに付け替えて音の変化を

調べたくなったのです。

実は、鉄道模型搭載用には

Nゲージ用からOゲージにも使用できる

大型まで各種のスピーカーが

多種メーカーより既に販売されています。

自分が試してみたのが

ドイツのZIMO製LSシリーズの

末っ子、LS8X12です。

ドイツZIMO製LS8X12

ドイツZIMO製LS8X12

同じドイツESU製に「50321」という

一回り大きいサイズ(11mmx15mm)の

製品もあります。

エンクロージャーは取り外し可能で

他形状のものに交換も可能です。

おもしろい点、かつ重要な点は

振動板はエンクロージャーの内側に

向かってセットとすることです。

そうしなければ振動子の音は

殆ど増幅されません。

 

で、このLS8X12に低域の薄い

出力を突っ込んでやると・・・。

元の音(低域)と大差のない結果

となりました。 あー、がっかり。

けれども、このエンクロージャーの

代わりに反響しそうな身の回りの

ものをいろいろ試してみました。

へーーーっ、結構音色って変わるんだー、

という感想です。

 

そこで思いついたことは・・・。

待てよ、そもそもメモリーに入っている

サウンドデータはどうなんだ? と。

つまり、いくらスピーカーが

優れていても、当のサウンドデータに

低域データが無ければ、聞こえるはずは

無いわけです。 高域なら、高調波が

フォローしてくれる可能性もありますが、

低周波については期待できません。

 

そこで、部屋に鎮座している30センチを

超えるウーハーを備えた守護神にアンプを

通してこのデータを再生してみたわけです。

すると・・・殆ど変らない音質(低域)・・・。

あらら、そもそもデータが入っていなかったのね(>_<)

 

このことを知るや、技術研究者魂が

沸々と燃え始め、この定性的知見を

少しでも定量化できないものか、

と考えたのです。

単に出力の周波数特性を調べれば

いいだけなのですが、以前は業務で

使用できた高価なスペアナ(スペクトラム

アナライザー)など家にあるわけもなく・・・。

いやっ!待てよ。 オーディオ用イコライザー

は使えないか? それは自分好みに音質を

変えることのできる機器で、

周波数ごとに出力強度を

個別に設定できるのです、そいつは。

バブル時代には、暗い部屋で見ると

楽しくなる、周波数ごとの強度がグラフィック

で表現されるイコライザー

(グライコ)が各メーカーから発売されて

いました。 私は当時粋がって

邪道呼ばわりしておりましたが・・・/(^o^;;

グライコなどという化石は現在は

新製品など見当たりませんが、

やっぱり見ていて綺麗なことと、

当時のやせ我慢がたたって

以前に小振りの製品を中古で

手に入れていたのです。

 

前置きが長くなってしまいましたが、

いよいよ佳境です(^0^)

事の始まりとなった低域の薄い

X社のサウンドと、小さいのに

かなり重厚に聞こえるY社の

サウンドをD/A後に

このグライコに突っ込んでみた

わけです。

百聞は一見にしかず・・・。

メーカーによるサウンドデータの周波数特性差 

実はこれらのサウンドボードは

どちらも大型ディーゼル用です。

それぞれ、エンジンのアイドリング時の

サウンドと、ディーゼルの肝である

警笛(エアホーン)サウンドの2種で

比較しました。

 

両社共に警笛時に低周波側(左側)に

大きく出力特性が伸びていることが

わかります。  けれども、X社の

アイドリング時、160Hz未満の

成分が殆ど出ていないのに対し、

Y社では人間の可聴限界(20Hz)に

近い40Hzまで出力が確認できます。

さらに警笛を稼働させると、

この40Hz強度が信じられないような

出力まで太り、さらにアイドリング時

はむしろ抑え込まれていた高域まで

、つまり全域が稼働するのです。

恐らくこれが重厚感の源なのでしょう。

 

結論としては、やはり推測通り、

各社のサウンドは既にデータの段階で

大きな差異があるということです。

音楽で言えば、

CDにすると高音質になるわけではなく、

音質は既にマスターテープ時点で

決まっているのとなんだか同じ

ですよね。

あー、少し定量化ができて

すっきりしました(^-^)

 

人間が聴き分ける音色というものは

非常に繊細なものです。 もちろん

それは周波数特性だけで語れる

ものではありません。

最近、新製品として発売された

動力車ごとのサウンドカードのような

システムでは、恐らくこの

音色にこだわりを出している

のではと、勝手に想像しています。

ですので、車両には搭載できない

もう少し大きなスピーカーを

外部で使用することに

なるのでしょう。

北米では、高出力アンプ駆動の

スーパーウーハー的システムで

蒸気機関車やディーゼルの

よりリアルなサウンドを追求する

製品まで出現しています。

 

音(耳)を含め、五感の追求には

際限がありません。 どの感覚も

執着が過ぎれば即ち「苦」の道に

入り込みかねないある意味危険な

センサーたちです。

けれどもその一方で、人間の心を

癒すことのできる、またその感覚を

通して他の心と通じ合える貴重な

感覚たちでもあるのです。

要は「万は表裏一体なり」なわけですが、

少なくとも鉄道模型に関しては、

気持ちや心を理屈抜きで

楽しませてくれる、

わくわくさせてくれる、

そんな特別で貴重な存在位置を

これからもずっと汚さないようにしたい、

そんな思いを肝に銘じている

今日この頃です。

 

あーーー、なんでいつも

こう重い話につながって

しまうのでしょうかー(>_<)

そんな自分が好きなわけでは

ないのですが、自分が

見放してしまうとかなり

可愛そうなので、

自分は理解してやることに

いたしますね(苦笑)。

 

長文、最後まで読んでいただいて

ありがとうございました。

 

それでは皆様、また次回までさようなら(^0^)/