本日もケンズ鉄道にご乗車いただき
ありがとうございます。
さて皆さん、こんなペイントスキームを
ご覧になったことがありますか?

「んん? はじめて見るなー、
MKタクシーのMK・・・? (>_<) 」
いやいや京都のMKさんとは何の関係
もございません (^_^)
「大学のころ、ようMKボウルにも
行ったやん! \(^^ 」
だ、だから、違うって! ・笑・
「MK」とは、モリソン - クヌーセン(Mo
rrison - Knudsen )社のことです。
※)Knudsenのカタカナ表記法は「クヌ
ーセン」の他にもあります)
聞き覚えのある方もいらっしゃることで
しょう。
「いや、もう知ってはる人もいるて。 (^^ 」
そうでした /(^^;
一時は鉄道界に名を馳せた会社です
が、残念ながら現在は後継の会社の
名称に変わっています。
20世紀の初頭に建設業から始まった
MK社は順調に業績を伸ばし、エンジ
ニアリング市場にも参入し、1970年代
からはアイダホ州で鉄道車両の製造も
始めました。
製造と言ってもリマニュファクチャリングと
いう再生手法が特徴でした。
古くなったEMDのディーゼル機関車用
コンポーネントを調達し、自らモディファイ
して再生する製造方法です。
「それやったらリビルドとおんなじ?」
調べてみると、リマニュファクチャリング
とリビルドは似ているけれどちょっと違う
らしいよ。
一般には、元々の製造者の承認や
監督のもとに再製造されるのがリマニュ
ファクチャリング(remanufacturing)
で、元の製造者とは無関係に再製造
されるのがリビルド(rebuild)とされて
いるんだって。
だからリビルド品は、仮に外観が元の
製品と同じでも、性能が元の製品と
同じ保証はないってことだよね。
「ほな、MKさんのは? 」
MK社の手法は微妙なんだけれど、調
べた資料の説明には「リマニュファクチャ
リング」とあったから、一応EMDの承認
は得られているんだろうね。
ボックスカーやホッパーカーなどの貨物車
に、よくリビルド車両が存在していますが、
これは例えば元のフレームやシャシーなど
だけを使用して、上物は目的に応じて
独自設計の機構デザインが取り入れられ
ており、当然元の車両の仕様は満たし
ていないことになりますね。
スクラップ行きの車両が再生され、路線
内での運用寿命が延びるというメリットか
ら多くの鉄道会社や団体に喜ばれ業績
を伸ばしたMK社は、1980年代後半
頃からオリジナルの車両製造や、全米各
地でのコミューターレール事業への参画を
目指すようになります。
「コミューターレールゆーたら、シカゴの
メトラとかカリフォルニアのカルトレインや
メトロリンクやね (^^ 」
そうそう。
そんな有望と見込んだ事業の中で、
客車の製造にも意気込みをもってい
たらしいよ (^^
計画通り、1994年に当時単発エン
ジン機としては最強の5000馬力を
有するMK5000C型ディーゼルを世
に送り出しますが、経営状況は既に

MK5000C型ディーゼル機関車。 翌年にはGE社製造の6000馬力AC6000CW型
に最強の座を奪われます。
悪化しており、1995年頃には事実
上の倒産を余儀なくされました。
倒産後、一部がスピンアウトし、新た
な会社を設立して車両事業を引き
継ぎました。
これが、現在のモーティブパワー(MPI:
Motive Power)社というわけです。
「なるほどー、モーティブパワーの前の
会社やったんやね、MKは。」
成功した「再生製造」はいわゆるニッチ
市場だったんだよね。
さて、話は鉄道模型に変わってカトー
社のEMD F40PHディーゼルです。
今までに何度もスキームやロードナン
バーが追加されるなどバラエティ豊か
なお馴染みの製品ですね。

カトー社の定番製品ともいえるEMD F40PH型ディーゼル機関車(写真はカトー社HPより)。
実は、近々に4種のスキームが追加
販売されそうです(リオグランデ・スキー
トレイン仕様、CSX・ダークフューチャー
仕様、CSX・ボックスカーロゴ仕様、
フロリダトリレール仕様)。
中でも私の注目はフロリダ-トリレール
(Florida Tri-Rail)のF40PHです。
トリレールと言えば南国の南フロリダ東
岸を走る全長100キロ余りのコミュー
ターレールで、現在はSFRTA(South
Florida Regional Transportation
Authority)によって運営されています。

コミューター列車。 どうしても皆様にこの写真をお見せしたくなり、撮影したマイケル・ハー
ディング氏に直々に掲載の許可をいただきました。
トリレールのF40PHは#807と
#808が2015年頃に初めて発
売されたようですが、今回はESU
サウンド搭載機も追加され再販
されるというのです。

カトー社HPより)。
「おじちゃん、ほんまはその情報、
おきゃくさんからもろたんやろ? (^^ 」
あららら、知っていたのね /(^^;;
情報ありがとうございます。
実はそんな事情から知った今回の
再販なのですが、トリレールに注目
するのには理由があります。
それは、カトー製の他のF40PHが
EMD製であるのに対して、トリレー
ルのみがM-K製であるということです。
「出た! ここでMKかー! (^^ 」
MKタクシーさんのことじゃないって
もうわかるよね! ・笑・
EMDは、1975年から1990年代
初頭にかけて、数多くあるバリエーシ
ョン機も含め475両ものF40PH型
を製造したとされています。
一方、F40PH型をもとにM-K社が
手掛けた機体は10両足らずで、
トリレール(#807、#808、#809)
とコースター(COASTER:カリフォル
ニア州のコミューターレール)用に納め
られました。
(MPI社製造も含めると1998年ま
で総計30両余りの非EMD系F40
PHが製造されました。 その中には
GP40をベースにMKが製造した
F40PHL-2型(トリレール)も含ま
れます)
「コースターのはまだ発売されて
へんもんね。」
確かまだだと思うんだよね。
間違っていたらごめんなさい (^^;
だから、非EMDのF40PHは
今のところトリレールのみ。
トリレールに納入された3機体の形式
は、F40PH-2C型と呼ばれ、HEP
(ヘッドエンドパワー)用のカミンズ製
発電機を搭載して重量が増している
ことと、全長が若干長くなっています。
「ほんまや、写真くらべたら後ろ上の
ラジエターグリルの辺がちごてるわ !(^^ 」
うん、情報が正しければ、実機写真の
ボディの方が少し長いはずだよ。
ウィキペディア情報によりますと、この
F40PH-2C型は、トリレールと
コースター以外に、ボストンのMBTA
とカルトレインにも納められていますが、
製造はそれぞれEMDとMPI(モーティ
ブパワー社)になります。
※)カルトレインにはEMD製F40PH
-2型も納められており、カトー製カルト
レイン#903、#914はこれにあたり
ます。
発売予定の製品ではスキームのみトリ
レール仕様となり実機同様に全長が
延長されているということはないと思い
ますが、以上のようなことを知ると非常
に貴重感が増しますよね d(^-^)
他のカトー社発売品を細かな型式で
いいますと、機番からアムトラック機が
F40PHR型(EMD)、メトラ機が
F40PH-2型(EMD)であるなど
興味が深まります。
「わー、頭がごちゃごちゃに
なってしもたー (>-<)」
はははー、おじちゃんも覚えているわけ
じゃないからね (^^
発売品の中ではトリレールだけがMK
製だってことだけ知っていればいいんじ
ゃないかなー (^_^)
今日は、モリソン-クヌーセン社と、
そこから生まれたF40PHについて
お話をさせていただきました。
それではみなさま、
また次回までさようなら (^0^)/