「4014」イクスカージョントレインの編成

 

 

 

本日もケンズ鉄道にご乗車いただきありがとう

ございます。

 

今月6月発売ということでご予約を受け付けて

おりましたアサーン社のNゲージビッグボーイが

来年3月の発売に延期されました。

恐らくは新型コロナウイルスの影響で製造を請

け負う中国の工場にスケジュール的な遅延が

出たためと予想されます。

 

「残念やけど、しゃーないなー、

そういうことやったら。」

 

この後、またさらに遅れる可能性もあるけれど、

楽しみに待つことにしようよ (^^

 

6月にビッグボーイを見られなかった埋め合わせ

としまして、今日は皆さんにその雄姿を写真で

ご紹介致しますね。 そう、昨年レストアが完了

した#4014です。

ビッグボーイ#4014 エクスカージョン編成

実物はやはりかなりの迫力です。 右下の人物と比較するとその圧倒的な大きさが改めてわかりますね。

「これがほんまに動くところを

生きてるあいだに一回は

見たいもんやなー (>o<) 」

 

人間が作りだした希有の乗り物として、歴史

上の遺産的価値も十分にあると思うよ。

 

ご存じの通り、昨夏のお披露目式の後、

4014は長期にわたる中西部のツアーを行い

ました。 その運行地域はワイオミング州、

ネブラスカ州、アイオワ州、ミネソタ州、ウィス

コンシン州、イリノイ州の全6州に及びました。

また、それとは別に南カリフォルニア州方面へ

のツアー(4014ジャーニー)企画も実施され

ました(2019年10月)。

ビッグボーイ エクスカージョン イクスカーション 4014 カリフォルニア Big Boy Journeys

ケイジョンパス(Cajon Pass)の約10マイル手前を西進するビッグボーイ4014エクスカージョントレイン(2019年10月9日、カリフォルニア州ビクタービルにて Photo by Craig Walker)

 

その時の4014率いる列車を「ビッグボーイ

4014エクスカージョントレインなどと呼ぶこと

もあります。

ちなみに、このエクスカージョンですが、原語は

ちょっとした旅行を意味する「Excursion」で、

「イクスカーション」と呼ぶこともあります。

 

「ん? んんん? この写真・・・

なんやビッグボーイのうしろに

いっぱい楽しそうな車両が

いるやん! (^o^) 」

 

そう、ウォーターテンダー2両と補機ディーゼルの

他、10両の編成だね (^^

今日はその編成内容を一つずつ見て行こう!

ビッグボーイ エクスカージョン編成 補機SD70ACe ウォーターテンダー ディーゼル機関車

右が進行方向で、右からウォーターテンダー”JOE JORDAN”(右)、”JIM ADAMS”(中)、補機の”SD70ACe Tier4 #3025″(左)

#814「ジョー・ジョーダン」と#809「ジム・アダ

ムズ」は、1937年に蒸気機関車用に製造され

た車両で、50年代にはガスタービン機関車用

のフューエルテンダーに転換され、70年代には

UP# 907857、UP #907856のナンバーで転用

されました。 80年代に#3985(4664)や

#844(484)の補助給水車となった後、2003

年に#814、#809となり、ユニオンパシフィック

のスティームチームで尊敬さるべき2人の名前が

与えられたのでした。

 

「めちゃめちゃいろんなけい歴が

あるテンダーなんやねー。」

 

これらは、スケールトレインズ社やカトー社から

もNゲージで発売されたよね。

さて、これに続くのが1両目のツールカーだよ。

ビッグボーイ エクスカージョン編成 パワーカー ツールカー

ツールカー(Tool Car)#6334 “Art Lockman”(右)、パワーカー#209 “Howard Fogg”(左)

ツールカー(Tool Car)は、運行中の4014

のメンテナンスや修理を可能にするツアーに

必須の車両です。 内部には工作機械を

はじめ、様々な工具やパーツ、潤滑油などが

装備され、作業員のためのラウンジやロッカー、

洗濯機などもあります。

車名となったアート・ロックマン氏は、かつて車

両担当で43年間勤め上げたユニオンパシフィ

ック社の社員であり、現在も蒸気機関車の

維持、運行で尊敬される有名なスペシャリスト

です。 この#6334は、1962年にバゲッジ

カーとしてUP社に納入された車両です。

 

一方、1949年にバゲッジ・ドミトリーカー

#6006として製造された左のパワーカー

(現#209)には、ビッグボーイの運行中の

メンテナンス時に、代わって蒸気を供給する

蒸気発生機と客車に電気を供給するため

の発電機が装備されています。

「ハワード・フォグ」は1996年に他界した

有名な鉄道芸術家にちなんで命名された

そうです。

 

「次は3両目やね!」

ビッグボーイ4014 エクスカージョン バゲッジ ドームコーチ

バゲッジカー#5714 “Lynn Nystrom”(右)、ドームコーチ#7015 “Challenger”(左)

このバゲッジカー#5714は、1957年に

郵便車として製造された車両だそうだよ。

 

車名になっているリン・ニストロム氏は、やはり

ユニオンパシフィック社のスティームチームに在籍

していた運転技師で2010年に亡くなりました。

コンダクターを含む数々の職歴をもち、また

鉄道模型界や鉄道ファン組織とも親交のあった

人物であったそうです。

 

通常座席のドームコーチ#7015「チャレン

ジャー」は、1958年にプルマンで製造され、

米国で製造された最後のドームカーとしても

有名なのだそうです。

 

「次の5両目にはなんや

文字がついてんなー。」

 

ビッグボーイ4014 イクスカーション 展示車 イグジビット 寝台車

イグジビットカー#5752 “Promontory”(右)、スリーパー#1602 “Green River”(左)

「イクスピアリアンス・ザ・ユニオンパシフィック」

って書いてあって、「ユニオンパシフィックを

体験しよう!」ってことかな。

これは、イグジビットカーと呼ばれていて、中

は一般公開される資料の展示室になって

いるんだよ。

 

1962年の製造で、最初はUSPSの郵便

運搬に使用されました。 70年代にツー

ルカーに転用された後リタイアし、2018年

10月に「プロモントリーイグジビションカー

(Promontory Exhibition Car)」となって、

ツアー中の停車駅でユニオンパシフィック社

のこれまでの歴史や功績を多彩な手法で

一般公開しています。

ビッグボーイ 4014エクスカージョン 展示車 イグジビットカー 寝台車グリーンリバー

イグジビットカー内部の展示内容の様子(左)と「グリーンリバー」の客室内部(右)

 

6両目の#1602”グリーンリバー”はスリー

パー(寝台車)で、1949年に”Western

Hills”という車名の12ルーメット&4ダブル

ベッド車両として製造されました。

その後、UP社外に売却されますが、1990

年に買い戻され、8つのベッドルームを持つ

現在のデラックススリーパー(豪華寝台車)

”グリーンリバー”となります。

 

「次の7両目は、あんまり

見たことない屋根やなー。」

ビッグボーイ パワーカー ドームカー excursion

パワーカー#2066 (右)、ドームカーラウンジカー#9005 “Walter Dean”(左)

そう、この車両は今まであまり一般には公開

されたことがないのだそうだけれど、やはり編成

の客車に電力を供給するパワーカーで、元は

郵便物を保管するポスタルストレージカー

だったそうだよ。

 

このパワーカーには、編成の電気的な管理を

担当する電気技師のための居住空間や、

乗客へのサービスのための冷蔵庫や冷凍庫も

備え付けられています。

 

8両目は、1955年に製造されたドームラウ

ンジカー#9005です。

1990年に車名となったウォルター・ディーン氏

は、1942年からウェイターとして勤め上げ、

ジュディー・ガーランドやフランク・シナトラ、

それにかのトルーマン大統領への接客も行った

方なのだそうです。

通常のドームコーチとは異なり、展望室には

ラグジュアリーなソファーが並べられています。

 

ウォルター・ディーン ドームラウンジカー シティオブデンバー ダイナーカー

「ウォルター・ディーン」の展望室内(左)と「シティ・オブ・デンバー」の室内(右)

「次は食堂車!」

 

9両目は、1959年に製造されたダイナー・

ラウンジカーで、1989年に「シティ・オブ・

デンバー」の名がつきました。 乗客や乗員

が、ここでフォーマルな食事をとるのだそうです。

ビジネスカー ビッグボーイ4014 エクスカージョン ラウンジカー シティオブデンバー ケネフィック kenefick Denver

ダイナー/ラウンジカー “City of Denver”(右)、ビジネスカー#119 “Kenefick”(左)

「さいごをかざるんが10両目

のてんぼうしゃやね!」

 

展望デッキをもつこのビジネスカーは、もとは

1950年にプルマンで製造されたコーチ#

5446で、1963年にビジネスカーに改造

されました。 1986年に#119となり、

1988年には1971年から1983年まで

ユニオンパシフィック社の社長を務めたジョン

・ケネフィック氏(John C. Kenefick)から

「Kenefick」の名が付きました。

ビッグボーイ 4014エクスカージョン ヘッドマーク 展望車 ビジネスカー

展望デッキ(左)とビッグボーイ4014ツアーのために用意された特別仕様のドラムヘッドマーク(右)

ビッグボーイ4014ツアーでは、上の写真

のような特別仕様のドラムヘッドが後尾に

装着されファンを喜ばせました。

 

「おじちゃん、このエクスカージョンの

模型は発売されてへんの? 」

 

残念ながら未発売だねー。

特に今後の製品化の予定も聞かないから

少し残念だよね (>_<)

 

UPのエクスカージョン列車と言えば、過去に

カトー社からの発売があります。

その編成内容を、今回のエクスカージョン編成

と比較してみました。

カトー KATO USA エクスカージョンセット ビッグボーイ excursion 編成比較

ビッグボーイ4014エクスカージョン編成(左)とカトー社発売エクスカージョン7両セット(右)の比較

「わー、ぜんぜんちゃうやん (>_<)」

 

うん、後尾の「Kenefick」以外は殆ど重複

していないねー。 イグジビットカーの

「Promontory」は同じ車両だと思うんだけ

れど、ペイントが変更されているよね。

 

カトー社からは、Nゲージのビッグボーイが将来

製品化される話がありますが、もしかすると

そのタイミングで今回のエクスカージョン車両が

発売されるのかもしれませんね。

 

「#844のときがそやったもんね (^^ 」

 

でも、今回の4014にかかわる種々のツアー

では、区間や時期によって、編成内容がいろ

いろ変わっているから、今日ご紹介した編成

がそのまま製品化されるかどうかは今後の

お楽しみだね。 このヘッドマークを見ると

カトーさんもわくわくして製品化の意欲が湧

くかもね (-_<)

是非、模型でも見てみたいよね!

 

今日は、昨年のレストア以後行われている

4014エクスカージョントレインの編成の中

から、その一つをご紹介させていただきました。

 

「どの車両もみんなそれぞれの

ながい歴史をもってるんやねー。

なんや存在がちこなったなー (^o^) 」

 

人でなくても知れば情が湧く感じだね (^^

 

最後になりましたが、今回の貴重な写真を

ご提供いただいたミッドウェスト・レール・レン

ジャーズのロバート・タバーン氏にこの場を

お借りして深く感謝を申し上げます。

 

「ロバートさんは、てんぼうデッキの写真の

まんなかのおっちゃんやでー d(^^ 」

 

ではでは、今日はこのへんで。

 

それでは皆様、また次回までさようなら (^0^)/