モノポリーの4鉄道。

みなさんはアメリカの伝統的ボードゲームである

「モノポリー(MONOPOLY)」をご存知でしょうか?

日本でも確か1970年代に一度ちょっとしたブーム

があったように記憶しています。

1935年に誕生したこのゲームは、要は陣取り

ゲームなのですが、その中に4つの鉄道会社

が登場します。 このゲームで陣取りの「陣」に

あたるのは実在の土地(ストリート等)です。

なので当然登場する鉄道会社も当時実在

していた会社名が使用されています。

その4つの鉄道とは、

1.B&O鉄道(ボルチモア&オハイオ)

2.Reading鉄道(レディング

3.Pennsylvania鉄道(ペンシルバニア)

4.Short Line(ショートライン)

です。

モノポリーのB&O鉄道のマス。

モノポリーのB&O鉄道のマス。

B&O鉄道は1827年創立でアメリカで商業目的

として初めての鉄道会社でした。 1987年に

CSXに併合されますが、1953年当時で総路線距離

6289マイル(10,062キロ)、1000両以上の

蒸気機関車を所有していました。

モノポリーのリーディングのマス。

モノポリーのレディングのマス。 読むという意味の「read(ing)」と同じ綴りですが、鉄道会社名としては「レディング」というペンシルベニア州の地名が由来なので「レディング鉄道」が正式です(1924年以前は、フィラデルフィア&レディング鉄道でした)。

レディング鉄道は1833年創立で1976年に

Conrailと合併しますが、1970年の総路線距離

1185マイル(1,896キロ)、1920年代にすでに

900両以上の蒸気機関車を保有していました。

ペンシルバニア鉄道のマス。

ペンシルバニア鉄道のマス。

ご存じペンシルバニア鉄道は1846年創立。

1968年にニューヨークセントラルと合併し

ペンセントラルとなるも2年で破産危機。

結局路線は1976年にConrailに併合されます。

1950年の総路線距離は10113マイル

(16,180キロ)にも及びその当時ですら

4400両以上の蒸気機関車を抱える

超巨大鉄道でした。

ショートラインのマス。

ショートラインのマス。

さて最後はショートラインです。 少なくとも

ボード上のマスには他の3社と異なり

「RailRoad」の文字がありません。

実は私も知らなかったのですが、この

「Short Line」というのは鉄道会社の

名前ではなく、またクラス分けしたときの

短路線の意味でもないのです。

当時ニュージャージー州の海沿いにある

アトランティックシティとオーシャンシティ間を

走っていたストリートカーシステムの名称

「Shore Fast Line」の略称だったのです。

ストリートカーとは要はちんちん電車

(路面電車)です。

経営していた鉄道会社名は、

「the Atlantic City and Shore Railroad」で、

1907年から1948年まで続いていました。

私が持っている60周年記念モノポリーの

中には、このちんちん電車の駒があります。

ショートラインのちんちん電車。

ショートラインのちんちん電車。

何気なく使用していましたが、実は当時の

ショア・ファスト・ラインで使用されていた

ちんちん電車そのものだったのです。

実物写真をご覧になりたい方は、

「Shore Fast Line」などで画像検索して

みてください。そっくりです(^_^)

ゲーム中、この4鉄道を全部勝ち取った

プレーヤーは大抵「鉄道王」と呼ばれて

嫌がられます。 でもなぜか4鉄道を

全て独り占めしたいという衝動にかられるのは

やはり国や時代を問わない人間の本能

なのでしょうか。

そう、モノポリーは人間の独占本能が露わに

なるこわーい「独占」ゲームなのです。

それではみなさま、また次回までさようなら(^0^)/