デジタル制御(DCC)機器の製品たち。 

本日もケンズレールロードへ

お越しいただきありがとうござ

います。

 

米国の鉄道模型がデジタル

制御運転に関して世界でも

非常に進んでいることは周知

の通りです。

ファンが望むことと昨今の様々

な技術進歩が合わされば自ず

とこのよう世界が広がってゆく

のでしょう。

ですので、ショップオーナーと

して、また一個人としても、

「デジタル技術」についてでき

ればごく自然に身構えずに接

していただければいいなと思

っています。

 

「そやけどおじちゃん、

なんや難しそうで

わからへん言葉も

ぎょーさん出てくるし

ハードルがたかいわー。」

 

そっかー、デジタルに限らず

新しいことに慣れるにはやっ

ぱり時間がかかるよね。

だから今日はね、少しでも

デジタルに親しんでもらうため

に、今市場に出回っている

デジタル制御機器について

話をしてみるね。

制御機器というと難しそうだけ

れど、アナログで言えばパワ

ーパックのことだよ。

アナログと違うところは、基本的

に機能別に分割して機器が存在

していることかな。 もちろん

アナログパワーパックと同じ一体

型もある。

 

少し前になりますが、取引のある

メーカーの技術部門の方に、デジ

タル車両のプログラムにはどのよ

うな機器を使っているかを聞いた

ことがありました。

その返事として、NCEの「プロキャ

ブ(ProCab)」や「パワーキャブ(Po

werCab)、或いはDigitrax(デジトラ

ックス)の「DT400」シリーズに「DC

Sブースター」シリーズをつけて付け

て使用しているとのこと。

(※DT400は旧製品で現在は

DT500シリーズになります)

 

話の行間を読むと、どうも走行用

とプログラム用で別の機器を使っ

ているようなのですが、今日は

このNCEとDigitrax、それに昨今

急激に勢いを増しているESUの

製品について話をさせていただ

きます。

 

デジタル制御機器として販売さ

れている製品の種類はおおよそ

機能別に以下の4種類になりま

す。

1.パワーサプライ(アダプター)

2.コマンドステーション

3.ブースター

4.スロットル

一体型製品以外の実際の運用

では、これらを組み合わせて使

うことになります。

それでは、これら4種を一つずつ

見ていきましょう。

 

パワーサプライ(Power Supply)

はアナログやパソコンでもお馴

染みの電源供給器で、コンセント

からの交流電流をを機器に必要

な仕様に変換する(適合させる)

役割をもっています。

ですので、外見が同じように見え

ても機器に対して出力される電圧

や電流値が異なっているので注

意が必要です。

パワーサプライ各種

パワーサプライで確認しなけれ

ばならない内容は、入力と出力

の仕様です。

入力(Input)とはコンセントから

の電流の仕様で、北米なら120

ボルトAC、日本なら100ボルト

AC(50/60Hz)です。 120ボル

トACにしか対応していない製品

は日本国内では使用できません。

(変圧器を使用すれば使用可)

一方、上の図のDigitrax製品の

ように、入力仕様がユニバーサル

タイプになっているものも最近

増えてきました。 電圧は90ボ

ルトから240ボルトをカバーし、

周波数も50ヘルツ、60ヘルツ

両方で使用できますので、日本

国内のコンセントに直接差し込

んでも大丈夫です。

 

「なるほど、これやったら

変圧器をコンセントに

差さんでもええから

便利やね(^^ 」

 

おじちゃんが使っているDCS

51にもこのユニバーサタイプ

のパワーサプライが使われ

ているよ。

 

一方、パワーサプライの出力

(Output)は、機器に入って行く

電流の仕様で、使用する機器

に適合していなければなりま

せん。

 

「日本やとたいてい製品に

アダプターもいっしょについ

てくるけどなー」

 

DCC機器では、アダプターが

別売りになっている製品もある

ので製品の内容にパワーサプ

ライが含まれているかどうかを

確かめたほうがいいね。

 

さて、次は「コマンドステーション

(Command Station)」なる機器

です。

これは、デジタル車両などとや

り取りをする電気信号を制御す

る働きをもっており、操作盤(キ

ーボード)と車両の間に入って

プログラムやデータの読み出し、

書き込み、ファンクション動作な

どを行います。 後で出てくるブ

ースターと呼ばれる電源と一体

になっている製品も多くあります。

コマンドステーション各種。 線路への電流のフィードはここから行います。

これらは今現在(2018年3月)の

ラインナップですが、Digitraxなら

旧製品として「DCS100」や「DCS

150」がありました。

 

「オーディオ製品でゆーたら

プリアンプとかコントロール

アンプっちゅーところやね」

 

そうそう。

で、パワーアンプに当たるのが

次のブースター(電源)というこ

とになるね。

 

「なるほど、パワーパックの

セパレートバージョンゆう

わけや。」

 

だから、「DCS51」なんかの

オールインワンタイプは、プリ

メインアンプってことになるね。

 

ブースター(Booster)はまさに

車両に電気を供給する電源のこと

で、追加電源の意味としても使わ

れます。

ブースターと呼ばれる電源各種

左のSB5とDB5は、NCEの

5Amp電源付コントローラー

「パワーキャブ(PowerCab)」

の増強用電源として使用され

ます。

右のDigitrax製DBシリーズは

同社のDCSシリーズ(電源付

コマンドステーション)などの

増強用電源として使用されます。

 

「アメリカの大きいレイアウトで

いっぱい車両を動かしてもブー

スターを追加したら大丈夫やね。」

その他のブースター製品

NCEの「パワープロブースター

(PBシリーズ)」は電源追加用

の汎用製品(写真左、中)。

ESUの「エコスブースト」には

容量が4アンペアと8アンペア

の2種があったりと(写真右)、

それぞれのレイアウトの規模や

走らせる車両の数に合わせて

電源容量を様々に調節できる

製品ラインナップが各メーカー

で用意されているんだ。

 

最後は、車両の速度を調節する

働きをする「スロットル(Throttle)」

です。

電源をもたないスロットル製品各種

スロットル製品には、そのまま

線路に電気を供給できる電源

付きの製品と、上の図に示した

電源をもたない製品があります。

さらに、電源をもたない製品の

中には車両の運転機能だけの

製品と、プログラムやアドレスの

書き換えも可能な製品がありま

す。

上の図で「車両制御のみ」の製

品では、車両のアドレスを選択

してファンクション機能とともに

車両の運転制御(前後切り替え、

速度調整)はできますが、

アドレス自体やCV値などを書

き換えることはできません。

一方、「プログラム機能付」の

製品は、運転機能とプログラ

ム機能の両方をもっています。

基本的に車両制御のみの製品

の方が安価になりますので、

運転環境や目的に合わせて

使い分けることができます。

 

速度調整にはボリュームをつま

んで回すタイプと、上図の「NCE

ProCab」のようにホイールを親

指で上下に回すタイプがありま

す。

 

「それと、線をつないでつかう

やつと、無線でできるやつが

あるみたいやねー」

 

うん、NCEとDigitraxには、

電波で無線制御ができる

製品シリーズも揃ってるよ。

(Digitraxでは赤外線無線

仕様もあります)

 

スロットル、電源、コマンドステーションが一体化した製品

上の3製品では、コマンドステ

ーション、ブースター、スロット

ル機能がオールインワンとな

っており、これだけでプログラ

ムと車両の走行の両方がブー

スターなしで楽しめます。

ただし、電源容量が最小限に

留められていますので、運転

環境に合わせてブースターを

適宜追加することになります。

 

「デジトラックスのDCS51は

カトーブランドではDCS51K

やんねー」

 

デジトラックスとカトーの共同

開発製品だからね。

エントリーモデルだから、他の

製品と比較すると機能や電源

容量で制限があるけれど、日

本では馴染みのスタイルだね。

(※ DCS51(K)では電源

出力が小さいため、大きなキャパ

タンス (高容量コンデンサー)

を含むデコーダー(ブロードウェイ

製品など)ではアドレスやCV値の

読み出しができません。

書き込みは「ブラストモード」を

ご使用いただくと可能です。

「ブラストモード」ご使用方法は

ケンズタウンのDCS51商品

説明内に記載があります)

 

以上の製品の他に、これらを組

み合わせたセット製品が各メー

カーから多品種発売されています。

以下はその一部です。

使用環境に合わせて各種セパレートの機器を組み合わせたセット製品

線路と車両を用意すれば

すぐに運転が可能で、通常

「スターターセット(Starter

Set)」というカテゴリーに

分類される製品です。

電源容量や無線機能の有無

など、各種グレードがあります。

 

「アメリカでは一体型より

セパレートで使うことが

多いんやねー」

 

お座敷運転が多い日本では

据え置き型のオールインワン

が使いやすいけれど、

大きなレイアウトを持っている

家も多いアメリカでは、スロット

ルは持ち歩きたい事情がある

んだよ。 一箇所に座っていた

らレイアウトの隅々までが見え

ないからね。

だから、重量のある電源関係

やコマンドステーションだけを

セパレートして据え置き固定

するシステムになるんだと思うよ。

 

DCS51のようなオールイン

ワンかつ据え置き型の製品

は、NCEに「DCC Twin」、

MRCに「Prodigy Explore」、

バックマンに「E-Z COMA

NDCONTROL SYSTEM」

などがありますが、やはり北米

では主流ではないようです。

据え置き一体型各種

以上は、各メーカー製品種の

一部です。 これらの他にも

目的に応じて応用が効く様々

な製品がありますので、興味

のある方はメーカーカタログ

などをご覧ください。

 

最後に、各メーカー製品の

互換性についてです。

例えば、Digitirax製品では機器

同士の接続に「ロコネット(Loco

Net)」と名付けられた通信規格

が使用されています。 ESU

製品では同様に「エコスリンク

(EcoSLink)」が独自規格と

なります。

基本的にこの2種にはケーブル

コネクター形状も含め互換性が

無く、例えばDigitraxのコマンド

ステーションにESUのブースター

を直結することはできません。

ところが、ESUには「ロコネット

コンバーター(LocoNet Con

verter)」なる気の利いた製品が

あり、この機器を介せばDigitra

xのスロットルをESUのコマンド

ステーションやブースターに接

続することが可能になります。

勢いを増すESUの関連製品

NCE製品は、接続ケーブルを

いじればDigitrax製品と直結

することが可能で、NCEのホ

ームぺージにその方法が記載

されています。

 

ESUはドイツの会社ですが、

北米市場に積極的に製品展開

を始めています。 車両にプリ

インストールされるサウンド

DCCボード(デコーダー)の

「LokSound」は、カトーの他、

既に複数の北米メーカーで

採用されています。

新製品に「LokSound」のロゴ

を見かける機会が以前より

ずっと多くなったと感じます。

 

「他は、Soundtraxxの

「TSUNAMI」とか、ブロード

ウェイの「Paragon」、バック

マンはLentz製やね。」

 

特にNゲージでは、ボディが非

常にコンパクトな「ロックサウンド

セレクトマイクロ」(上図左)が好

調で、アメリカ型だけでも80種を

超えるサウンドファイル(無料ダウ

ンロード可能)を武器に勢力を急

拡大しています。

北米のDCC機器専門ショップ

では、必要とするプライムムー

バー(エンジン)や蒸気機関車

のサウンドファイルを選択して、

サウンドデータ付で「セレクトマ

イクロ」を購入することが可能

になっています。

また、同社の「LokProgramm

er」という製品を使用すれば、

お手持ちのPCを通してお好き

なサウンドファイルをご自分で

デコーダーにインストールする

ことも可能です。

(Digitraxにも同様の作業が

可能な製品群があると思い

ます)

 

今日は北米で流通している

DCC機器についてお話をさ

せていただきました。

これらの機器を全て使いこな

した上での内容ではないため、

情報に間違いがある場合は

何卒ご容赦くださいませ。

ざっとしたご紹介でしたが、

デジタル技術・機器へのご理

解が多少なりとも進むようで

したら幸いです。

 

「知ってるだけでも

いざゆーときに役に

立つようなきがするわ(^^ 」

 

いつか実際に使ってみた感想を

書きたいものだね (^o^)

 

それではみなさま、

また次回までさようなら(^0^)/